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「風俗とか水商売にはすごく偏見があった」それでも…女子大生の私がソープで働く道を選んだワケ

『女子大生風俗嬢 性とコロナ貧困の告白』より #1

2021/06/04
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風俗の存在さえ知らなかった

「お酒を飲んで暴れるみたいなのは昔からで、リストラされてからひどくなった。リストラの前は酔って暴言を吐くことはあっても人は殴らないし、まだマトモでした。働かなくなってからは暴れるわ、物は投げるわ、母親に暴力をふるうわ、メチャクチャに。母も病んでしまって家事をあんまりしなくなって。私が家事をやったんだけど、そうしたら母親の仕事だろって暴れる。高校のときは自由な時間がない、家に居場所がない、だから学校で勉強している、みたいな感じでした」

 家がおかしくなって、学校で勉強するようになって成績は上がった。地元の国立大学、早慶を含めた東京六大学は合格圏内だった。

「ひとりっ子なので父親は唯一の家族だし、嫌いにはならない。けど、あきれます。あういう大人になりたくない。血は継いでるけど、ああはなりたくないって。私もイラッとしたら、キレやすいっちゃキレやすい。父親を思い出して、あまり怒らないようにするとか。アイツにならんとこ、みたいな感じです」

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 とにかくお金がない。そのまま学費を払わなければ、除籍になってしまう。延納を大学に相談し、現状で受けられる可能性がある給付型奨学金を調べた。

「本当にちょっとだけど、生活の足しになる奨学金があったり。医療費を大学が持ってくれる制度があったり。できることを片っ端から調べました。塾講師のアルバイトはしていたけど、そんな金額では無理なので夜の仕事、ホステスとかキャバクラとかの求人を見ました。本当に何も知らなくて夜のお仕事=キャバ嬢と思ってました。父は酒乱だけど、私はそんなにお酒が強くない。無理って。はじめて風俗ってあるのを知って、どんな感じかとか、稼ぎとかも知らなかった。それで調べてなるほどなるほど、みたいな」

 1年後期の授業料約55万円は半年間待ってもらえた。半年後に延納する55万円と、2年前期の授業料55万円、合わせて110万円をつくらなければならない。日本学生支援機構の第一種、第二種奨学金はすでに借りていて、増額しても足りない。早急にお金をつくらなければならなくなった。