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「風俗とか水商売にはすごく偏見があった」それでも…女子大生の私がソープで働く道を選んだワケ

『女子大生風俗嬢 性とコロナ貧困の告白』より #1

2021/06/04
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学資保険の200万円は父親の借金返済に

「高校時代に両親の様子を見ていて、大学費用を払ってくれるか微妙だと思ってました。だから、大学入試と入学のお金の一部はバイトして貯めました。あらかじめ準備したんです。合格してから母方のおばあちゃんが、内緒だよ、お父さんには内緒だよって、黙って渡してくれたお金をそのまま入学費用に使いました。家が貧しいから国立を考えていたけど、私がやりたいことが私学にしかなくて、A大学に入りました」

 私立大学への進学は経済的に心配だったが、なんとかなるだろうと思った。

「あとから知ったんですけど、母親は私に学資保険を積み立ててくれていた。そのお金は父親に盗られてしまって全部パーになりました。そのことを母親からの手紙で知って、え? って。よくよく話を聞いたら、離婚してから私の親権は父親になって、そのお金を使い込んだらしい」

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 大学進学時に200万円のお祝い金が下りる学資保険だった。父親はそのお金を使ってしまった。保険会社から麻衣さん名義のお祝い金200万円は下りたが、お金は進学費用に使われることはなかった。

©iStock.com

「いつの間にかお金は消えているし、父に借金があったっていうのが大学に入って半年くらいで判明した。大学から学費未納の連絡があって初めて気づいたんです。たぶん、父親が親権を欲しがったのはその200万円のため。最初に感じたのは、悲しいなーって。それまで自分が貧困みたいな状況になるとは思ってなくて、だから、風俗とか水商売にはすごく偏見があった。汚い人たち、くらいに思ってました。でも、お金で躓いて、初めて自分の身に置き換えて、悲しんでいる場合ではないと。どうしようって考えました」

 父親には何を言っても無駄だと思った。200万円のことを問い詰めても、おそらく手元にはない。ないものを返せと言っても心労が増えるだけ。だから、何も言わなかった。

 父親は中小企業のサラリーマンだった。44歳でリストラに遭った。再就職は決まらず家にいるようになり、ずっとお酒を飲んでいた。大学入学のときには働いてなかったので、お金があるはずはない。200万円はお酒に消えたのだろう、と思った。

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