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5万円のギャラでAV出演

 リストラされたとき、退職金を含めて貯金は500万円ほどだった。結局、夫は2年間以上も働くことができず、収入は半年間の失業保険だけ。スーパーのパートを増やしても、せいぜい月6万円程度にしかならなかった。毎月7万円の住宅ローンを支払い、普通に質素な生活をしているだけでも、どんどん貯金は減っていく。

「最終的にもうダメってなったのが、大学の受験費用と初年度納入金でした。130万円くらいで、それを払っても毎年授業料が110万円かかる。奨学金とか教育ローンとか、いろいろやりくりしても、まったくお金が足りない。スーパーのパートをしながら、いろんな求人を見たのですが、せいぜい時給が最低賃金から100円上がるくらい。40代の女に普通に生活できる仕事はまったくなくて、風俗しかないって思いました。娘の受験のことなので、2年前のちょうど今頃、AV出演したんですよ」

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 アダルトビデオの求人には年齢制限がなかった。メールで応募した。すぐに返信があって面接があり、全裸をチェックされて出演が決まった。ちなみにAV女優は裸が商品なので、面接の段階で全裸をチェックされる。

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「パートしているスーパーは近所だったから、ちゃんと続けないと家族にバレちゃうじゃないですか。子どもも買い物に来るし。とりあえず、すぐにお金になる仕事ってことでのAV出演でした。“夫がリストラされた奥さんが生活のために応募してきた。面接即ハメ”って、そのままの設定でした」

 AV女優の出演料はプロダクションから即金で支払われる。もらったお金は5万円だった。もう、だいぶ前からアダルトビデオの出演料は安く、リスクや労働量(セックス)の割にはお金にならない。初出演から10本くらいに出演し、出演料とパート代で生活をしのいだ。信用金庫の教育ローンでお金を借りて初年度納入金を支払った。家にひきこもっていた夫は、妻がアダルトビデオに出演していることは、まったく知らない。

「主人はネットもスマホも使わないのでバレないでしょう。スーパーのレジを続けても生活できない。AV出演しているときに夫がなんとか働き出して、自由が効くようになったので、風俗店を探して、大塚の熟女デリヘルで仕事をすることにしました。最初から本番店です。100分で1万4000円になる。一日一人付けばって仕事ですね。AVと本番店でセックスまみれではあるけど、夫には会社に就職したって伝えた。それから毎日、朝家を出て風俗店に出勤しています。夫のほうが朝が早いので、全然バレないまま今に至っていますね」