談合関係者の逮捕後に市役所勤務の職員3人が“連続自殺”
これらをもって、市役所への捜査員の出入りはなくなり、職員らにも平穏が戻ってくるかに思えた。ところが、今度は市役所に勤務する中堅幹部職員3人が立て続けに自ら命を絶つという、痛ましい出来事が起きたのだ。
4月14日、契約検査課長補佐だったIさんが自宅で首を吊り、命を絶った。島田被告が告白した「死なせてしまった」という部下こそ、このIさんのことである。
そして23日、生活支援課長補佐のMさんが自宅で自殺。さらに30日には人事課長のSさんが自宅で首つり自殺を遂げている。
5月6日には、中山一生市長名義による「職員の訃報について」という文書が職員向けに配布されている。そこには「自殺」という言葉は使われていないが、「けっしてひとりで悩まずに、話せる人に相談してください。周囲の人が異変に気づいたら、相談するように助言してください」と職員に呼びかけている。しかし、3人の自殺の原因について調査などが行われている様子はない。そればかりか市は職員の連続自殺の事実さえも、公表していないのだ。
亡くなった3人のうち2人について、官製談合事件とのつながりが浮上
職員数500人足らずの同市役所で、わずか半月の間にこれほど自殺が連鎖することは、まさしく異常事態。その直前に起きた談合事件や警察による捜査との関連性を疑わずにはいられない。
そこで筆者が取材を進めると、亡くなった3人のうち2人について、官製談合事件とのつながりが浮上した。
最初に亡くなったIさんは、島田と同じく入札を取り仕切る実務担当者であり、今回の官製談合事件の現場付近にいた人物であることは間違いない。事実、筆者が入手した、問題の6件の「入札書取書」には、いずれもIさんの名前が「執行者」として記されてある。
「Iさんはこれら6件の入札の直接の責任者として、警察の取り調べも複数回にわたって受けていたようです」と明かすのはIさんとも親交があったという元職員の男性だ。
ただ、「平成28年に別の課から異動してきた島田さんより前から契約検査課にいたIさんは、課の中で最も実務を分かっていた人。しかし同時に、入札情報を漏らすことの重大性も誰よりも認識していただろうし、彼の人柄からしても不正に手を貸すような人ではない」(元職員の男性)と強調する。