文春オンライン

森友公文書改ざん「亡くなる前の晩に電話があったんです」赤木俊夫さんの義母が語ったあの日のこと

『私は真実が知りたい 夫が遺書で告発「森友」改ざんはなぜ?』より#2

2021/05/25

source : 週刊文春出版部

genre : ニュース, 社会, 政治, 読書

note

 森友学園との土地取引を巡り、公文書書き換えを上司に強制されたことを苦に自ら命を絶った財務省近畿財務局の元職員・赤木俊夫さん(享年54)。2020年3月、赤木さんが遺した痛切な手記が週刊文春で公開され、大きな反響を呼んだ。

 「助けてあげられなかった」そう語るのは俊夫さんの義母。俊夫さんを理不尽に失った家族が初めて胸の内を明かした。赤木雅子さんとジャーナリスト・相澤冬樹氏による『私は真実が知りたい 夫が遺書で告発「森友」改ざんはなぜ?』(文藝春秋)の一部を抜粋して紹介する。(全2回の2回目/#1を読む

親族の思い

 俊夫さんが亡くなった翌日、自宅を訪れた楠氏の「遺書を見させて」「マスコミは怖いですよ」という発言を録音していたのは、当時17歳だった甥っ子の1人だった。彼が機転を利かせてスマホで一部始終を録音していたおかげで、今、その時のやり取りが細かくわかる。そして実家のお母さんは俊夫さんにとって義理の母だが、手記で「私の大好きな義母さん」と触れるほど仲が良かった。

ADVERTISEMENT

 雅子さんの実家の家族は、俊夫さんに起きたことをどう思っているのだろうか? お母さんと兄夫婦、それに3人の甥っ子たちの一家は、岡山県内で暮らしている。コロナの問題があったため、私はスマホを通しテレビ電話で実家のご家族と話をした。それまで俊夫さんの実の父が報道各社の取材に応じたことはあるが、雅子さんの実家の家族が取材に応えるのは初めてだ。

 トップバッターは最年少、兄の三男(13)。雅子さんの末の甥っ子にあたる。俊夫さんに書道の指導を受けている写真が残っている。

「初めて習字をしたのは神戸(赤木さん夫婦の自宅)に行った時です。幼稚園でした。それから書道を習うようになりました」

©iStock.com

「いつも笑ってるイメージでした。優しかったけど、書道を教えるときはちょっと厳しい。道具の使い方を優しく教えてくれました」

 続いて2番目の甥っ子(15)。年齢が若い順での登場だ。

「プールに泊まりがけで遊びに行ったことをよく覚えています。楽しいおじさんでした。亡くなった時はとても悲しかった」

 そして1番上の甥っ子(19)。録音をしたのは彼だ。なぜだったのか?

「おじさんが亡くなって病院から帰る時、おばさん(雅子さん)が『深瀬さんだけが信用できる』と話していたんです。と言うことは他の人は信用できないということでしょ。財務局のことでこうなったんだから財務局の人は信用できない。その頃テレビで、裁判なんかになったら録音が大事だと放送していたんです。豊田さん(元秘書への暴言が報じられた豊田真由子元衆議院議員)のことです。あれも録音していたからわかったわけでしょ。だから録音しようと思いました」