森友学園との土地取引を巡り、公文書書き換えを上司に強制されたことを苦に自ら命を絶った財務省近畿財務局の元職員・赤木俊夫さん(享年54)。妻の雅子さんは真実を明らかにするため国などを提訴し、重要証拠である赤木ファイルの開示を繰り返し求めてきた。存在するかどうかも「明らかにできない」としてきた国が一転、今月6日に赤木ファイルの存在を認め、6月23日の次回口頭弁論までに地裁に提出する方針を明らかにした。
妻の赤木雅子さんとジャーナリスト・相澤冬樹氏による『私は真実が知りたい 夫が遺書で告発「森友」改ざんはなぜ?』(文藝春秋)の一部を抜粋。俊夫さんの上司による赤木ファイルについての証言を紹介する。(全2回の1回目/#2を読む)
知られざる重要証拠
俊夫さんは、一連の土地取引が終わった後に担当部署に来た。どういう経緯か知らされないまま、経緯を記した公文書を改ざんさせられた。雅子さんは池田氏を問い詰めた。
「なんで改ざんなんか受け入れたんですか?」
「手放しでは受け入れてはないです。抵抗はしました。やる必要もないと思っていましたし。僕自身もあの当時、かなり追い詰められているところもあって、赤木さんと同じように、遅くまで仕事をして、僕の場合は売り払いをした当事者ですから。もう朝方まで本省から……もちろん嘘はいけないですけど、我々近畿財務局の仲間、それと東京のメンバー……奥さんには怒られるかもしれないけど、何人けがするかわからない状況の中で、少しでも野党から突っ込まれるようなことを消したいということでやりました」
池田氏は、俊夫さんが終始改ざんに反対していたと明かした。
「初めから赤木さんは抵抗していました。でも、ちょっとしたところだけ、野党から聞かれたことに関連するところ、大勢に影響のないところ、みたいにどんどんどんどんエスカレートして、それはもう耐えられない。だから赤木さんもその下の部下も、正直涙を流しながら抵抗していた。それを僕自身、課長という立場で改ざんを止めきれなかった。だから僕は改ざんを主導したメンバーに間違いなく入ります」
ここで池田氏は、改ざんの実態を示す、知られざる重要証拠を俊夫さんが残していたことを、初めて明かした。