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「言葉」よりも「証拠」をつきつける

――では選手を納得させ、やらせるためには?

「僕の場合、話術で乗せるとか、言葉で分からせるというよりは、映像を使って証拠を突きつけます」

©文藝春秋

――試合の映像を使って、一人ひとりを分析したうえで落とし込む、と。

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「見つける必要がなければいいですけど、指摘しなければならないことは絶対にありますからね。その重要な作業は、正直大変です。土曜日に試合があって、日曜日は(出なかった選手たちの)練習試合がある。月曜日がオフで、次の試合に向けて火曜日にスタートします。午前に練習して、午後に映像を使ってミーティングで試合の振り返りをやるわけです。ここでどんな証拠を突きつけられるかが大事になってくるので、土曜日に試合が終わってから火曜日のミーティングまでは結構、憂鬱だったりするんです」

――ミーティングしてから練習に入らないのですか?

「それは午前の練習の雰囲気を見るためです」

――その意図を教えてください。

「良くない試合の後で、練習を見ていてもシュンとした雰囲気だったら、ミーティングで使う映像も一部をカットしたりします。極端に言えば、良いところばかり集めたものを見せてもいい。逆に前向きな雰囲気だったら、きついことをもう一つ言っても受け入れてくれそうだなと思って付け足したりもします。そういった微調整を大切にしています。前の晩までにつくったものを、そのまま見せているんじゃないんです」

――証拠を突きつけるにしても「やらせる」じゃなく選手自ら「やる」方向に持っていくための微調整なんでしょうか?

「そうです。トランジション(攻守の切り替え)、ボールを大事にするところ、プレッシャーに行くところ。グラウンドで指摘することも大事ですが、僕は落ち着いた週あたまのミーティングで何を落とし込めるかを重視しています。ここを大切にしてきたから、今のチーム状態や順位があるのかなとは感じています」

©文藝春秋