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ボヘミアン・ラプソディ Bohemian Rhapsody

 映画のタイトルにもなったクイーン最大のヒット曲。1975年10月にシングル発売され、クイーンにとって初の英チャート1位を獲得。

 映画では農場内に作られた特設スタジオでのこの曲の録音風景が描かれているが、最終的な形はあくまでもフレディの頭の中だけにあったため、実際のレコーディングではどんな曲が出来上がるのかほかの誰も想像できなかったという。メンバーはこの曲を“Freddie’s Thing (フレディのやっている何か)”と呼んで、一心不乱に作業を進めるフレディを見守っていた。

1975年、来日時のクイーン ©getty

 そうやってできあがったこの曲は、アカペラからバラード、オペラにハードロック、最後に再びバラード……と1曲の中に5つの違った曲調が入り、さらに6分という常識はずれの長さ。ロックというよりも、5つの楽章に分かれたクラシックの交響曲のようで、幼少の頃からクラシック音楽を学んだフレディ・マーキュリーの美学が貫かれた楽曲といえるだろう。

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 映画でもその一悶着が描かれたように、この曲が完成するとメンバー(特にフレディ)は、シングルとして発売をすることを主張。一般的にヒット曲の構成は「Aメロ/Bメロ/サビ」を繰り返し、約3分に収めるのが基本。あまりに“セオリー”から外れた「ボヘミアン・ラプソディ」のシングル・ヒットは、およそ見込めなかった。当然、レコード会社やマネージャーまでもシングル発売には猛反対を唱えた。そこでフレディは、友人のラジオDJにこっそり音源を渡すという奇策に出る。「俺たちの新曲だけど、絶対ラジオでかけるなよ」と念押しして。

 もちろん、これを額面通り受け取るDJはいない。フレディの暗黙の意図を汲み取り、DJは2日間で14回もオンエア。リスナーからの反響は凄まじく、レコード会社も押し切られる形でシングル発売を承諾。結果、映画の中でもジム・“マイアミ”・ビーチが『判断するのはリスナーだ』と予言した通り、モンスター級のヒットとなり、クイーンを代表する曲となった。

4thアルバム「オペラ座の夜(1975年11月発表)」に収録