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2021/06/07

source : 文春文庫

genre : ニュース, 社会, 政治, 経済, 読書

小沢不起訴へと傾いていく検察首脳

 そうして捜査の焦点は、特捜部が小沢一郎本人を摘発するか否か、という点に絞られていく。現場の捜査検事たちが中心となった積極捜査派、法務官僚を中心に政治の風向きを気にする消極派に割れ、双方がぶつかる。数少ない実力政治家の命運を握る捜査だけに、検察は揺れた。

 そして、検察首脳は小沢不起訴へ傾いていく。だが、世間はそれで納得しなかった。市民団体がすぐさま検察審査会に不起訴に対する不服申し立てをし、小沢の政治とカネ問題は第2ラウンドに突入するのである。

検察審査会の意義

 検察審査会の歴史は古い。戦後間もない1948(昭和23)年7月、検察審査会法の施行以来、全国の地方裁判所とその支部がある149カ所に、165の審査会が設置されている。元来、検察は刑事事件について、起訴して裁判に持ち込む公訴権を独占している。しかし、過去には数多くの政治介入を許してきた。そのため、事件が闇から闇に葬られてきた案件は数え切れない。検察審査会はそれを防ぐためのシステムだ。

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 検察の捜査が適正になされているかどうか、そこについて市井の意見を交えて検討する。もっと有体にいえば、検察が「不起訴」として不問に付した事件で、本当に犯罪の疑いがないかどうか、を審査し、場合によっては法廷でそれを問う。市民感覚を導入することにより、司法の独断を防ごうとするシステムである。

 もっとも、終戦時の米国による占領体制においてつくられた古い法律に基づく仕組みであり、これまでは事実上、機能してこなかった。それが2000年以降の司法改革によって見直される。結果、検察審査会の権限が強化された。

 検察審査会の議決には、厳しい順に「起訴相当」「不起訴不当」「不起訴相当」の三種類がある。起訴相当は、すみやかに起訴すべきだという意味である。検察審査会が二度開かれ、結果が同じ起訴相当ならば、検察に代わり、被疑者は裁判所が任命した弁護士によって強制起訴される。