4 更に、共謀に関する諸判例に照らしても、絶大な指揮命令権限を有する被疑者の地位とA、B、Cらの立場や上記の状況証拠を総合考慮すれば、被疑者に共謀共同正犯が成立するとの認定が可能である。
5 政治資金規正法の趣旨・目的は、政治資金の流れを広く国民に公開し、その是非についての判断を国民に任せ、これによって民主政治の健全な発展に寄与することにある。
(1)「秘書に任せていた」と言えば、政治家本人の責任は問われなくて良いのか。
(2)近時、「政治家とカネ」にまつわる政治不信が高まっている状況下にもあり、市民目線からは許し難い。
6 上記1ないし3のような直接的証拠と状況証拠があって、被疑者の共謀共同正犯の成立が強く推認され、上記5の政治資金規正法の趣旨・目的・世情等に照らして、本件事案については、被疑者を起訴して公開の場(裁判所)で真実の事実関係と責任の所在を明らかにすべきである。これこそが善良な市民としての感覚である。よって、上記趣旨の通り議決する。
繰り返すまでもなく、ここにあるA、B、Cが、逮捕・起訴された小沢一郎の元秘書たち、大久保隆規と石川知裕、池田光智だ。
民主党代表選出馬でも結果は同じ
小沢一郎は、ただおとなしく市民感覚の審判を待つというタイプではない。二度目の検察審査会の議決前には、民主党の代表選に出馬する。「次期、首相候補を法廷に立たせるつもりか、という検察審査会に対するけん制ではないか」と評判が悪かったが、本人は意に介さない。
しかし、代表選では菅直人に完敗し、逆にますます立場が危うくなる。そして、検察審査会は10年11月、小沢に対し二度目の議決を下す。結果は同じく「起訴相当」だ。これにより、小沢一郎は刑事被告人として、法廷で裁かれることが決まったのである。
2011年が明け、1月31日、小沢一郎に対する強制起訴が実行された。小沢はそれまでの検察ではなく、市井の弁護士とあいまみえる結果になる。
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