脳卒中とは、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の総称。命に関わる病気であることはもちろんだが、たとえ命は助かっても、あとに重篤な麻痺が残ることも少なくない。日本人の死因第4位の脳卒中は、現代人にとって大きな脅威だ。
しかし、その発症時のシチュエーションによって、予後の事情も色々と違ってくるようだ。今回は首都圏に住むTさん(44)を襲った「コロナ禍前」の出来事です。
行為に及んで20分…異変は突然起こった
Tさんは東京郊外のマンションに住むサラリーマン。妻と二人の子どもとの4人家族だ。家庭には何の不満もないが、会社に行けばそれなりにストレスは抱えている。それを理由に、稀にではあるが、得意先から直帰の時などに風俗産業の消費者になることがあった。
その日も夕方から、都内の繁華街のホテルで出張型ヘルスを利用。行為に及んで20分ほど過ぎたところで異変が起きた。
かつて経験したことのない激痛が頭に走った。片頭痛や二日酔いの痛みとは明らかに質の異なる激烈な痛み。表現は変だが「外傷が頭の内側から起きたような激痛」だ。突然のことに事態が飲み込めないTさんを、今度は強烈な吐き気が襲った。なすすべもなくその場に嘔吐。事情が分からないなりに遠のく意識の中、彼は死を覚悟したという。
しかし、もっとうろたえたのは風俗嬢だ。自身の勤務する店に連絡すると、店からホテルに連絡が行き、係員が部屋に急行。あとから来た風俗店のスタッフと協議の末に救急車の要請に踏み切った。
Tさんが病院に担ぎ込まれた時点で発症から40分ほどが過ぎていた。頭部CTを撮影したところ、左被殻という脳の中央を占める部位からの出血が認められた。つまり「脳出血」だ。
緊急の開頭手術が行われ、血腫を除去。命は助かったものの右半身の麻痺と意識障害が残った。