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「半沢直樹」「下町ロケット」の成功体験

 逆に民放ドラマであらかじめ第一部、第二部に分けると発表していたのは、日曜劇場「半沢直樹」の第1シリーズ(13年)である。公式サイトで “ドラマは、第一作目「オレたちバブル入行組」をベースにした物語を〈第一部〉、第二作目「オレたち花のバブル組」をベースにした物語を〈第二部〉とし、前後半の二部構成でお送りします。”と明記するなど、原作の2作をまとめて放送することを決めていた。結果的に「半沢直樹」は高視聴率で大ヒット作となった。

 はたしてこの二部構成が成功要因だったのだろうか。それはわからない。ただ、第2シリーズ(2020年)も第一部「ロスジェネの逆襲」、第二部「銀翼のイカロス」とふたつの原作エピソードで構成された。同じく池井戸原作「下町ロケット」(15年)も第一部「下町ロケット ゴースト」編と第二部「下町ロケット ヤタガラス」編と二部構成だった。

大ヒット作「半沢直樹」も二部構成だった(公式HPより)

「下町~」は「半沢~」と比べると出足は落ち着いていたが、第一部の最終回は視聴率が20%を超え、第二部への勢いがついた。最終回だけは見る人がいるものなので、中だるみしそうな中盤を(第一部の)最終回にすることはいい作戦といえるだろう。また、スポーツでもタイムをとると試合の流れが変わることはよくあり、章を変えて一旦リセットし、リスタートを図ることは悪いことではない。

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 とりわけ原作ものの場合、1エピソードを無理に10回に引き伸ばそうとしてオリジナルエピソードなどを加えると失敗しかねない。潔く、原作ファンにも寄り添うことは大事である。『半沢直樹』などでは1クールに2作品見られるお得感と同時にちょっと物足りなさもあったという声もあるが、ライトユーザーにはこれくらいが程よいのであろう。

坂元裕二作品の狙いは?

 坂元裕二ドラマに関しては、この章立て作戦は謎である。ヘヴィユーザーが多いので、話題性や見やすさを求めず、独自の道を歩んでもいいのではないか。ところが「カルテット」(TBS系 17年)も第6話から「第二章開幕!!夫の告白、妻の涙…迎える衝撃の結末」としていた。やはりプライムタイムのテレビドラマである以上、少しでも視聴率をキープしたいという姿勢も見せる必要があるのかもしれない。