局は違うが、「大豆田とわ子」も第一章と第二章の間に、ひとりの主要人物(市川実日子)が亡くなって視聴者をざわつかせた。そして松たか子をはじめとする主要登場人物を取り囲む脇のキャラクターが入れ替わり、新たな物語が進行しはじめた。なんなら第二章から見てもついていけなくはない。
“早送り視聴”の増加と背景は同じ?
コロナ禍でリモートワークが定着したとはいえ、連ドラを10週間ほど毎週続けて見るのもなかなか骨が折れるものである。1回見そびれたら配信か録画で追っかければいいにしても、気づけば2話、3話と未見のものが溜まっていく。そうなるともう見るのがなんだか億劫だ。ネットであらすじやら感想などを見て、最低限の知識を頭に入れておくだけで済ましてしまいそうになる。
昨今は録画や配信を早送りで見ている人も増えているようだ。みんな時間に追われているのである。その点、第一章、第二章と分かれていると、あとでまとめて見るにしても5話分で済む。10話の半分になるととても気が楽である。
1年間や半年間の連ドラがあった時代は今や遥か昔。NHKの朝ドラと大河ドラマだけが特別な存在だが、これらも近年、世帯視聴率が下がってきているのは話が長いことも理由のひとつではないだろうか。世帯視聴率だけが人気の指標ではないとはいえ、視聴率が公表される以上、低いより高いほうがいい。少しでもキープしたいし、上がればなおいいというのが制作者側の本音だろう。
「章分け=テコ入れ」とも限らないが……
朝ドラや大河ドラマの場合、長丁場なので、地元編、上京編――たとえば現在放送中の朝ドラ「おかえりモネ」なら宮城編、東京編があり、大河ドラマ「青天を衝け」だと「血洗島編」「京都編」とあらかじめ分けて、事前に出演者の発表などをしている。
一方、民放の連ドラの場合、第1話から見ていると、ある時、突然「第一章完、次回第二章」「いよいよ最終章」と予告で謳われる。全10話ほどのドラマのどこまでが序章で、全部で何章なのか、視聴者は知らされていない。小説だったら、目次に第一章、第二章などと書いてあるが、ドラマの場合、そういうのはない。ちなみに、最近の傾向では、最終章は「最終回とその前の回」の2話分ということが多い。
「あなたの番です」は第一章のあと第二章がはじまるサプライズ込みの企画だったようで、それがSNS受けした成功例だが、中にはテコ入れじゃないかと穿った見方をしてしまう作品もある。