新型コロナウイルスの感染拡大で、社会には大きな変化がいくつも起こった。そのうちのひとつが、亡くなる人をめぐる変化だ。
人と人との接触の機会が減って地域の見守り活動なども難しくなったことなどから、孤独死の問題が深刻化。自殺率の上昇も問題になった。
突然の身内の死には、ショックを受けて思わず何も手につかないという人も多い。そんな残された家族たちを支える存在が、「遺品整理士」だ。
超高齢化社会を迎え、近年の日本で需要が高まり続ける「遺品整理士」たち。一方で、現場では多くのトラブルも起こっているという。そうしたトラブルに巻き込まれないために何が出来るのか。2011年9月、一般社団法人遺品整理士認定協会を設立した「遺品整理士」の第一人者・木村榮治氏の『遺品整理士という仕事』 (平凡社新書)より、一部を抜粋して引用する。
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膨大な量の遺品を処分しなければならないという状況下に遺族が突然置かれ始めたこと、また「遺品整理」という言葉が一部の業者から生まれたことにより、遺品整理の需要は急激に伸び始めました。
様々な関連業者がその供給に応じた結果、当協会が発足した2011年9月時点で全国に約3000社ほどあった遺品整理の関連業者は、2013年11月の時点で5000~6000社と倍増しています。今後も確実に増えていくものと思われ、供給が不足するような事態にはならないと考えてよいでしょう。しかし、だからこそ遺族には気をつけていただきたいことがあります。
「突っぱねれば…」は当事者になったことがないから言える
遺品整理を依頼する方の多くは、一人暮らしの高齢者や重いものを運べない女性です。つまり体力的に弱い立場にある人が、チラシなどで知った、つまりよく知らない、たいていは男性である業者を家へと迎え入れるということを、客観的に考えてみてください。どんなに治安がいいと言われる日本においても、リスクの伴う行為であることは一目瞭然ではないでしょうか。