同紙によると、仮設住宅で亡くなった単身者の遺品を整理するために自治体が業者に依頼したところ、貴金属に二束三文の値をつけて不正な買い取りをしているというのです。自治体の担当者も業者のやり口には心を痛めているとのこと。すでにこの世にいない人の尊厳など知ったことではない、ということでしょうか。
このときは私どもも同紙から取材を受け、亡くなった人のものだからという、ただそれだけの理由で買い取り値を安くごまかす業者の存在などを明かしました。
被災地の場合は身内がいないケースです。もしかしたら、「私には、買い取り金額が安かったらちゃんと文句を言ってくれる子どもがいる」などと気にされない方もいるかもしれません。
しかし、査定をする人間が本当は値打ちのあるものだと分かっているのに、依頼者の無知につけ込んで安値を示してきたとしたらどうでしょう。身内がいても、安心はできません。買い取りや査定という、不明瞭な領域では、自分の利益を守るのがたいへん難しいのです。
依頼者に何が出来るのか
以上、3つのトラブルをまずは簡単に紹介しました。
1つ目の「金・もの・心のトラブル」については、その場で起こるものですから、業者をきちんと選び毅然とした態度で臨む、というように依頼者が自分で気をつけることができます。
しかし、2つ目の不法投棄、3つ目の不正買い取りについては、依頼する側がどんなに気をつけようと止めるのは難しいでしょう。この依頼者から見えにくい部分で不正を犯す業者が何と多いことか。
しかし、目に見えない不正を撲滅することこそ、当協会の使命と心得ています。そのためには、消費者の皆様にもその実態を知ってもらい、「あれっ、おかしいな。もしかしたら本に書いてあった不正ではないだろうか」と思ったときには業者に指摘をしていただいて、当協会と消費者双方から悪徳業者を牽制することが重要です。