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 そして実際にトラブルは多発しています。目立つのは高額請求で、見積もり時より大幅に請求額を吊り上げられたとして消費者の相談窓口に多くの苦情が寄せられているのです。遺品整理の金額というのは、規模にもよりますが家一軒を整理すれば数万円で済むことはまずありません。数十万円にはなりますが、それが吊り上げられれば100万円を超えてしまう場合もあるでしょう。

 それをただ「突っぱねればよいのだ」と言えるのは、当事者になったことがないからです。自分しかいない自宅に踏み入られているという状況に気づいて恐ろしくなり、「もめたらどんなことをされるか分からない」と言うなりになってしまう高齢者や女性のことを、誰が責められるでしょうか。そして、そこにつけ込む卑劣な業者が、確かに存在するのです。

 トラブルは高額請求にとどまりません。個々の例にはいくつかの要素が絡み合うこともありますが、大きくは次の3つに分類することができます。それぞれ、事例を交えて紹介しましょう。

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その1:その場で起こる金・もの・心のトラブル

 先に紹介したような高額請求はもとより、買い取りに訪れた際に貴重品を盗まれるという事例も発生しています。

 2013年10月から年明けにかけて、高齢女性が貴金属買い取り業者を装った男に貴金属を盗まれる被害が同地域で多発したと静岡新聞が報じました。被害総額は数百万円に上るそうです。

 男は貴金属を鑑定するふりをして、女性がその場を離れたすきにそのまま持ち去ったとのこと。こんなことが次々に起こったというのです。もはやトラブルどころか明らかな犯罪です。相手が社会的に弱い立場であることにつけ込んだ、悪質な業者の仕業と言えます。

1つ目のトラブルは、遺品整理の「その場」でおこる金・もの・心のトラブルだ ©iStock.com

 このケースは必ずしも遺品にかかわる犯罪ではなかったようですが、もしこうして盗まれたものがかけがえのない形見の品だったらどうでしょう。故人に対して申しわけが立たず、自分が気に入っていただけのものよりも、心に相当なダメージを負うことが分かるでしょう。このように、特に遺品についてのトラブルは、ものやお金のトラブルにとどまることなく、遺族の心のダメージに直結してくるのです。