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被告は弱い立場の女性につけいって弄んできた

 そうした法廷でのやりとりを聞き、傍聴席で肩を震わせている1人の若い女性・D子さんがいた。D子さんは10代の頃、ヤマモト被告が経営する工場の従業員として働き、たびたびヤマモト被告から性暴力の被害を受けたという。

 この日の公判が終了した後、D子さんは「文春オンライン」の取材に応じた。

「今思い出しただけでも吐き気がします。B子ちゃんだけでなく、ヤマモト被告はこれまでも弱い立場の女性につけいって弄んできました。泣き寝入りしている人も多い。私も大阪の“別邸”(※前記事で触れたヤマモト被告がC子さんから譲り受けた、山奥にある家)で被害を受けました」

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山奥の別邸 ©文藝春秋

 D子さんが被害にあったのは約6年前、2015年のことだ。D子さんは、両親が離婚するなど、家庭の経済的な事情で高校に進学することができず、地元のアイスクリーム店で働いていた。その店に常連としてよくやってきたのがヤマモト被告だったという。

甘い誘いに乗ってヤマモトの会社で働くことになったが……

「会長(ヤマモト被告)は従業員にもよく話しかけてくるコテコテの“大阪のおっちゃん”でした。『自分は海外を含め100個ぐらい会社を経営している』ってよく話していました。毎日来て、そんな自慢話をしていくものだから、世間を知らない私は『凄い人なんだ』と単純に思ってしまいました。

 ある時、会長から『別荘の管理と犬の世話をやってほしい』『給料は月25万円保証する。寮もあるで』って言われたんです。今から思えば、甘い誘いに乗った私がアホだったんですが、私はアイスクリーム屋を辞めて、ヤマモト被告の会社に行くことにしたんです」

ヤマモト被告が経営する工場 ©文藝春秋

 だが、いざ勤め先を辞めて、ヤマモト被告の会社で働くとなった途端、ヤマモト被告は約束を反故にし、「犬の世話の仕事は他に頼むことにした。俺の工場で働いてくれ」と言い始めた。しかも、ヤマモト被告が言っていた「寮」とは、外国人労働者が多数住む、風呂なし、築40~50年のアパートの一室のことだった。D子さんは「話が違う」と家に帰ろうとした。だが、家族からは「世の中そんなもんや」と諭され、工場で働くことになったという。給料は月25万円は保証されず、時給820円だった。