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「殺人以外はいろいろ拷問まがいのことをしてきた」

「会社に入った当初は、会長(ヤマモト被告)は私を食事に連れて行ってくれたり、たまに『頑張ってくれたから小遣いや』って数万円のボーナスをくれるなど、面倒見がよかったんです。『お前は娘みたいなものだから、お父ちゃんと思ってほしい』と世話を焼いてくれる。

 でも、その一方で、彼氏や家族と距離を置くように言われました。『あんな奴(彼氏)とは別れなさい』『家族とも連絡しなくていい、ウチ(会社)がファミリーやから』って。また、会長は取引先の人とよく大声で揉めていて、口癖のように『俺は地元ヤクザと仲がいい』『殺人以外はいろいろ拷問まがいのことをしてきた』と凄んでいました。怒らせたら怖い人なんだと思っていました」

ヤマモト被告

深夜になると豹変し「ええやんけ、ええやんけ」と私の布団に…

 そして、事件は工場に勤め始めてから半年後の16歳の冬に起きてしまった。仕事帰りに「(寮に風呂がないなら)大きい風呂にでも入りに来い」とヤマモト被告に山奥の“別邸”に呼ばれたA子さんは、その夜、襲われた。

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「会長の“別邸”は山の中にあり、熊や猪も出ます。近くに街灯もない。お風呂に入った後、『帰りは危険だから、泊まっていけ』と言われ、会長を信じて、『うん』と言ってしまった。私がバカでした。会長は深夜になると豹変し、『ええやんけ、ええやんけ』と寝ていた私の布団に入ってきた。

 どれだけ抵抗してもやめてくれませんでした。黙々と(強制性交の)行為が続きました。時間は1時間くらいだったと思います。山の中だから助けも呼べない。最後の方は早く終わることだけを考えていました。行為を終えると会長は『気持ちえかったやろ』『絶対誰にも言うなよ』と口止めしてきました。私はその夜、1人で泣くことしかできなかった」

D子さんが襲われた山奥の別邸 ©文藝春秋

 そんな事件が起こった後もD子さんはヤマモト被告の会社に残った。中卒で未成年でもあったD子さんは、すぐに別の仕事を見つけることができず、生きていくためには寮に残るしかなかったからだ。

“別邸”での一件があって以来、ヤマモト被告との接触は極力避けるようにしていたが、雇用主と従業員という立場から、ヤマモト被告を見かけたときは笑顔を作った。そんなD子さんの弱みに付け込むように、ヤマモト被告は2~3カ月に1度、D子さんを弄んだという。