竹田恒和氏は責任をとって2019年6月末でJOC会長職を退任
2016年9月にはJOCの調査チームが「正当なコンサル料で日仏の法律に違反しない」と報告書を発表した。
「しかし2017年には、仏検察の要請に応じて東京地検特捜部が当時の招致委理事長で、JOC会長の竹田恒和氏を聴取しました。2018年12月にも、パリで仏当局が聴取しています。無罪を訴えた竹田氏ですが、責任をとって2019年6月末でJOC会長職を退任しました」(同前・司法記者)
元JOC調査チーム座長が証言した「財務状況」
当時JOCの調査チームの座長を務めた立教大法学部教授の早川吉尚弁護士は、今回の件についてこう話す。
「当時の招致委員会の調査では『日本の法律に違反することはなく、IOC倫理規定への違反も見出せない』という結論を出しました。その過程で、今回亡くなった方の名前が登場したこともありません。私たちが調査した招致委員会にはJOCからの資金拠出はほとんどなく、そもそも別組織ですからね。
ただJOCの収入構造は、国内で様々な競技大会が開かれることによってその収入の一部が入ってくるというものですから、この1年は収入が大きく減っている状況が続いているわけです。JOCは職員も沢山抱えているし、収入がなくてもJOCがやらなくてはいけない活動はたくさんあるので、お金はかかる。財務的に厳しい状況になれば、一番苦しむのは財務の責任者の方になるでしょう」
永田町関係者は「世論の反対が強まる中で……」
前出の司法記者は、森谷さんを含めたJOC職員の心理的負担をこう語る。
「招致委ではJOCからの資金も使われているので、経理の責任者として責任を感じたり、周囲から疑いの目を向けられることは十分にありうると思います。自身が容疑者になったわけではないとはいえ、オリンピック全体が国民から疑問視される中で、プレッシャーは当然感じていたでしょう」
東京五輪にも関わるある永田町関係者は「五輪開催に対する世論の反対が強まる中、仕事に意義を見出しにくくなっていたのかもしれない。ご冥福をお祈りする」と静かに話した。
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