『アメトーーク!』「ローカル番組芸人」などで注目
――ロケ先のお店や会社は、どのようにセレクトされているのでしょうか。例えばカラーボール工場やヘラブナ釣り具専門店、はたまた台車やマネキン、調味料を作っている会社など、普通の街ロケ番組では紹介されないようなセレクトです。
岩津 自分がディレクターをやっていた6年間は、完全に僕の趣味と勘で決めていました。他のロケ番組で行っているようなところは行かないと決めていたので、おのずとマニアックになっていきました。もし他の番組が紹介したことがある場所に行ってしまっても、必ずどこもやっていない切り口で攻めるようにしてましたし。
馬場 初期の頃はADがリストアップしたネタ案の何十分の1しか採用してなかったって聞きました。『いろはに千鳥』のADは大変だったと思う。殺風景な国道とか何もない畑といった、オープニングの背景の場所も、岩津さんが毎回決めています。
岩津 そういえばシーズン1とかシーズン2の頃は、『いろはに千鳥』の知名度が全然なかったから、ロケ先の候補にアポ入れしても断られることが多かったんですよ。だけどシーズン3ぐらいから、いろいろなお店や企業から「ぜひ来てください」ってメールやお手紙をいただけるようになって、ブッキングはだいぶ楽になりました。『アメトーーク!』(テレビ朝日系)なんかで千鳥が『いろはに千鳥』をさんざんイジってくれたのが大きかったかもしれません。
出口 確かに『アメトーーク!』効果は大きかったと思います。2016年3月に放送された、地方局のレギュラー番組を持っている芸人さんたちを集めた「ローカル番組やってます芸人」回で、『いろはに千鳥』が1日8本撮りだと紹介されまして。この放送で番組の人気が高まっていったように感じています。番組の中で、『いろはに千鳥』での千鳥さんの顔を見て、その日の何本目の収録かを当てるクイズもあったんです。今は全国各地25局で放送してもらっていますが、ここ3、4年でグッと放送局数が増えたので、『アメトーーク!』などの影響力は感じましたね。
岩津 面白いと思う事を信じて続けていけば、見てる人たちにも伝わるんだということを『いろはに千鳥』で実感しています。番組開始当初、千鳥の知名度も番組の知名度もなくロケ先に断られていた頃を思うと、今はオファーが続々と来るような番組にまで成長していて、感慨深いですね。
【続きを読む 大悟は「ギャラが上がらんねぇ」と… 『いろはに千鳥』総合演出が‟カメラの外では千鳥と会話しない”ワケ】
(文=昌谷大介/A4studio、撮影=杉山秀樹/文藝春秋)
・岩津正洋:吉本興業株式会社所属。長年ディレクターを務めていた同番組の生みの親。現在は総合演出を担当
・馬場省吾:吉本興業株式会社所属。千鳥が東京進出した当時からディレクターとして付き合いがあり、約1年前から同番組プロデューサーを担当
・出口雅史:株式会社テレビ埼玉所属。報道制作局に所属し、番組を支える。約1年前から同番組プロデューサーを担当
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