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親子コラボの紙芝居
――「漫画家・矢部太郎」と「絵本作家・やべみつのり」の初めての「親子コラボ」も実現するそうですね。
ラフをお父さんが描いて、文章と仕上げの絵を僕が描いた紙芝居が9月に発売になります。タイトルは、誰もが知っているあの『うさぎとかめ』です。
漫画は近くで読むものですが、紙芝居は遠くにいる人にも見てもらえるようにしなくてはいけないので、線を太くとか、絵をハッキリ描くとか、人物が重ならないようにとかいろいろなマナーがあるんです。絵本ともまた違う発見や新しい気づきがあって面白かったです。
絵本の場合は、長く読まれるものにしたいので、時代的なものはあまり入れないとお父さんから聞きました。携帯電話やテレビを描かないとかいろいろあって、それがベストセラーになる秘訣だそうです。
――矢部さんご自身も、いつか絵本を描いてみたいと思われますか。
卒業文集で「将来は絵描きになりたい」と書いたこともあったんですけど、ずっとそう思っていたわけではないんです。というのは、僕の中では、いつも絵を描いていて、子どもと一緒に面白がり、子どもの絵や造作に本気で感動するような、お父さんみたいな人が絵本作家になるんだろうという思いがあったので、お父さんとは違うタイプの僕が、絵描きになるのは難しいだろうというのは、自分でも何となく思っていました。
でも、子どもの頃、お父さんと一緒にカルタや紙芝居を作って楽しかったり嬉しかったりした経験が、いま漫画を描くことにつながっているので、それはすごくよかったなと思います。