コロナ禍は、日本社会にかねて存在していた課題を浮き彫りにし、より切迫した状況にしました。中でも深刻なのは、出生数の減少が加速したことです。これは、いずれ日本の致命傷となりかねません。
出生数の減少が加速すれば、将来の労働力と消費力を想定以上に減らし、日本の国力をより縮小させるからです。人口減少対策のための残り時間はかなり奪い去られました。
人口が想定より速く減っていくこととなった日本はこの先どうなるのでしょうか。我々は状況の悪化にどう対処すべきなのでしょうか。「コロナ後」に起きることをデータを基に見てみましょう。
◆ ◆ ◆
コロナ禍でセックスレスが進行
厚生労働省の「人口動態統計月報(概数)」によれば、2020年の出生数は84万人程度となる見通しです。2019年に想定より早く90万人を割り込み、政府は「86万ショック」と表現しましたが、過去最少の更新は確実です。
しかも、これはコロナ禍の影響ではありません。2020年に生まれた赤ちゃんの大半は、コロナ禍前の2019年中に宿った命だからです。
コロナ禍の影響が表れるのは今年です。昨年5月から12月の妊娠届け出件数は、前年同期比で7.0%減でした。
コロナ禍でセックスレスが進行していたのです。日本家族計画協会が厚労省の事業として実施した調査によれば、1回目の緊急事態宣言が発令された前後にあたる昨年3月下旬から5月下旬の性交渉の頻度は「しなかった」が最多で49.8%。男性は39.5%で、女性は59.8%でした。「増えた」は3.3%で、「変わらなかった」が39%。「減った」が7.9%でした。
“巣ごもり”で子どもが増えるのではないかという楽観的な予測は、完全に外れたのです。