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認知症患者の増加懸念も

 コロナ禍が高齢社会にもたらした弊害は、これにとどまりません。高齢者の過度な外出自粛は介護の現場を著しく疲弊させました。

 東京商工リサーチの調べによれば、2020年の「老人福祉・介護事業」の倒産、及び休廃業と解散の件数は、過去最多を記録しました。コロナ禍前から綱渡りで運営されてきた介護事業者は、感染拡大に伴う人手不足と利用控えによって経営体力を奪われてしまったのです。

 感染収束後に再び介護サービスを利用したいと思っても、通い慣れた事業所が倒産してしまったのでは“介護難民”となりかねません。結果として、多くの高齢者が要介護度を悪化させる恐れがあります。

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 そうでなくとも、必要な医療や介護サービスを受けられなくなると、思わぬ状態の悪化を招きます。その代表例が身体機能の低下です。

 加齢によって心身が衰える状態をフレイルと言いますが、昨年から「コロナフレイル」が心配されるようになりました。感染を恐れて極端に外出が減った高齢者は、運動不足や他者とのコミュニケーション欠如に陥ります。そのため、新たな健康被害が生まれているのです。

 コロナ禍によって正常な人がMCI(軽度認知障害)に、MCIの人が認知症に進むことが心配されるという。「『ポストコロナの未来年表』2050年の日本はどうなっているのか」の全文は、「文藝春秋」2021年7月号と「文藝春秋 電子版」に掲載されています。

文藝春秋

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ポストコロナの未来年表