昨年は婚姻件数も前年に比べて1割以上も減る見通しです。2021年の出生数は墜落するように下落し、75万人程度まで減る可能性があります。国立社会保障・人口問題研究所(社人研)は、出生数が75万人となる時期を2039年と推計していますが、もし18年も早い到達が現実のものとなれば、2021年は「ベビーショック元年」として歴史に刻まれることでしょう。
日本の少子化は止まらない
出生数の下落は今年に入っても続いています。人口動態統計速報によれば、1~3月は前年同期比で9.2%減です。仮にこんなペースで下落が続けば、2022年の出生数は一気に60万人台に突入することが視野に入ってきます。
少子化を示す指標に、合計特殊出生率があります。「1人の女性が生涯に産む子供数の推計値」のことで、2019年は1.36でした。人口を維持するためには2.07が必要とされ、政府は1.8へ引き上げることを目指しています。
しかしながら、合計特殊出生率が多少改善しても、出生数は増えません。出産期の女性の人数が激減していくからです。
一昨年、出産した女性の85%が25歳から39歳でした。総務省によれば、昨年はこの年齢層の女性は990万人でした。一方、社人研の推計では2040年に814万人に減り、2060年には638万人です。2020年に比べて35.6%もの減少です。
多くは40代で出産を終えますが、昨年は50歳以上の女性の数が、49歳以下より多くなりました。「未来の母親」が減り続ける以上、少子化は止めようがありません。
さらに、未婚化、晩婚・晩産化が出生数を減らします。しかしながら日本の少子化対策といえば、待機児童の削減や、不妊治療にかかる費用の公費助成の拡充といったものです。それはそれで大切ですが、本質的な解決策とは次元の違う政策です。
出生数の減少が深刻なのは、将来にわたり、広範に影響が及ぶからです。生まれた赤ちゃんたちは20年もすると働き手になり、消費者になり、子どもを産む側に回りますが、その人数がずっと減り続けるのです。