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サトテルが大物である理由…「佐藤選手は誰に似てますか?」と矢野監督に訊ねた時の意外な答え

文春野球コラム ペナントレース2021

2021/06/15
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 貯金20の景色って最高ですね。とても気分がいいので、今回は語らせてください。佐藤輝明選手について。やっぱり大物なんです。「そんなんわかってるわ!」ってみんな言いますよね。わかってるんですよ。だって、インターネットの検索スペースに「佐藤」って入れたら、「佐藤健」の次に「佐藤輝明」って出るんです。日本を代表する俳優さんの次に出てくる佐藤さんなわけですよ。

 さらに、いろんな人の話を聞いていたら、いよいよ本当にすごいんじゃないかと思うんです。ちなみに私、あの“サトテルの3本塁打”をこの目でみたんですよ。たぶん交流戦一番の見どころだったんじゃないかなぁ。ちょっとその日のことと、私の耳に入ってきたサトテルの噂をみなさんと共有しますね。

サトテルの1試合3本塁打を見た夜

 空振りでお金がとれるというのはまさにこのことを言うのだろうとやっとわかりました。5月28日。メットライフドームでの西武戦でした。私は今年の4月から、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科でスポーツ医学を学んでいます。日々埼玉県の所沢キャンパスで学んでいるので、所沢はすっかりマイホームタウンです。野球選手の動作解析や筋活動、障害について研究しているメンバーとこの日を楽しみにしていました。みんな野球の研究をしているのでもちろん練習から観たいと開門前に西武球場前駅に到着。大学院生になってからは毎日のようにライオンズのラッピング車両に乗っているので、脳内はまぁまぁ西武に占領されつつあります、おっと危ない。やたらとライオンズに詳しくなってくるわけですが、もちろん心は獅子ではなく虎です。(広告効果ってすごい!)

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 練習からもちろんサトテルの打球は違うわけです。「ほえ~」「すごっ、いやーすごい」。

 みんな口をあんぐりです。ライナーが外野席に突き刺さっていました。「練習だけでお金払いたいよね」。そんな打撃練習をみせてもらいました。最高の前菜をいただいたので、メインディッシュは西武vs阪神3連戦限定のハニートーストを食べようと思い、買いに行きましたが売り切れていました。食べたかったなぁ。

 実は、今シーズンこんなにタイガースの調子がいいにも関わらず、私がお客さんとして観戦した試合はそんなに勝ってないんです。ごめんなさい。この日も球団スタッフに「今日こそ負けるのやめてくださいね」と結構本気の温度で言われました。前日のロッテ戦の負け方からあまり流れが良くなかったから余計に負けられない試合でした。もちろんそれでもセ・リーグの首位に君臨していたわけなんですけどね。今年のチームは開幕から着実に貯金を増やしていても、常に緊張感もあると聞いています。風の噂です。だから、大きな連敗がないんですね。私の名誉のため!にも、どうしても勝ってほしい試合でした。

 そしたらサトテルがさっそく2回に打ってくれました。「すごいセンターライナー……入ったー!」。試合を生観戦しながらスマートホンで1球ずつ球種を確認していた研究室の仲間(癖が強い!)も、バットにボールが当たる音が聞こえた瞬間サトテルの打球に釘付けになっていました。2打席目は三振でしたが、それでもメットライフドームに駆け付けた虎党からは大きな拍手が起こっていました。空振りにもロマンが詰まっていますね。

5月28日の西武戦で先制の11号ソロを放った佐藤輝明

 同点に追いつかれた後の6回。サトテルの3打席目は、サンズの本塁打の直後でした。三塁側のライオンズファンも含めて「あるかもなぁ」という雰囲気が漂っていましたね。今度は左中間でした。気づいたら立ってZポーズしていましたね。その直後にまたすぐに同点にされて、7回裏に逆転されました。8回表のサトテルは三振でした。「これで負けたらもう観戦禁止令出されそう……ほんまに頼みます」と言いつつも、正直ちょっと諦めかけていました。ごめんなさい。阪神ファンの悪い癖で、いくら連勝しても貯金があっても「信じていいんかな?」って不安になるんです。

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