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「澤村拓一はマリーンズが育てた!」 ロッテとトレードの幸せな関係

文春野球コラム ペナントレース2021

2021/06/23
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 でもまあ、ここ近年ロッテは積極的にトレードを活用して、出番に恵まれない選手に新天地でのチャンスを提供してあげている印象だ。それとともに新たにやってきた新戦力も、“足りないポイント”をキッチリと抑えている。

 昨シーズンの澤村拓一なんて正直「巨人で相当ダメだったじゃんか……」と最初は思ってたけど、パワーピッチがパ・リーグの舞台にハマり、勝ちパターンの一角を担ってくれた。今やメジャーのレッドソックスでも好投を続けている。

 <澤村の昨季(巨人/ロッテ)と今季(レッドソックス)の成績>
 2020年
 巨人:13試合1勝1敗1H13.1回11奪三振 防御率6.08
 ロッテ:22試合0勝2敗1S13H21回29奪三振 防御率1.71

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 2021年※6月20日現在
 Rソックス:26試合3勝0敗28.1回37奪三振 防御率2.86

 成績で振り返っても、“何この別人ぶり”と思ってしまう。おまけにメジャーでの奪三振マシンぶりがロッテ時代以上にすごいのだから。ネットスラングを拝借すれば「澤村はマリーンズが育てた!」と手のひら返し……もとい、胸を張りたい気分である。

 その澤村の交換要員として巨人に行った香月一也も打率こそ.222だが3本塁打、ファーストやセカンドを守っている。オチャメなキャラは捨てがたかったし、藤原との大阪桐蔭高コンビの主軸も将来的に見たかったが、レアードや中村奨吾が盤石な現状を見ると、それはそれで幸せなのかな……と思うことにした。

ロッテ時代の澤村拓一

忘れられないのはやはり小坂誠、そしてサブロー

 ロッテとトレードと言えば――忘れられないのはやはり小坂誠、そしてサブローだ。とくに後者は当時の報道でも色々あったが、ロッテが日本一に輝いた翌年の2011年に巨人へとトレードで行って「大村」表記になってた電光掲示板を見て、東京ドームで半ベソかいた記憶がある。

 でも、この年のオフにフリーエージェント権を取得したサブローはロッテ復帰を選択してくれた。で、翌シーズンからサブローを称えるようにできた新応援歌「♪愛するチームのた~め~ 待っ~ていたんだ~その戦う姿を~」をエモい気分で口ずさんでいたファンも多いはず(自分もそうだし)。同じく巨人へと一度はお別れした小坂も、今はロッテのコーチで守備走塁を磨き上げる役割が“新・小坂ゾーン”になっている。

 トレードは一時の“お別れ”かもしれないが、きっと在籍したマリーンズへの愛情がゼロになることはないはず……と、彼らの経歴を見ていると信じたくなる。

 新天地で活躍する加藤翔平や香月、有吉らをスポーツニュースで見て「おお、活躍してるな」と思えるのも、ロッテファンであると同時に野球ファンとしての喜びの1つだろう。もちろん、彼らと代わってロッテの一員になってくれた国吉も加藤匠馬も、その力を発揮してくれることを心から願っている。

 160kmオーバーの剛球を持つ国吉が“澤村の再来”となり、ウワサでは甲斐拓也をもしのぐ超強肩で“匠馬砲”として加藤匠馬が扇の要を守ってくれれば――1位から5位まで3.5ゲーム差の大混戦から一歩抜け出る救世主になってくれると、後半戦に向けて心から応援したいところだ。

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