文春オンライン

小野祐次個展「Luminescence」 フランスのシャンデリアを通して純粋な「光」そのものを見る

アート・ジャーナル

2021/06/15

『光とは何なのか?』

「シャンデリアです。人工の光を当てて大判カメラで撮影しています。一つひとつはヴェルサイユ宮殿だったり、フランス国内の教会や城に古くから吊り下げられているもの。

 これらを被写体にしているのは、シャンデリアを構成するクリスタルこそ、光に最も素直に反応するものだから。シャンデリアを通した光と向き合うことで、『光とは何なのか?』『光そのものは撮れるか?』という疑問と対峙しているのです」

©Yuji Ono, courtesy of ShugoArts
小野祐次「Luminescence 」展示風景, 2021, シュウゴアーツ 撮影者:武藤滋生 ©Yuji Ono, courtesy of ShugoArts

 

ADVERTISEMENT

 光というテーマに挑むのは、時勢に流され消えたりすることのない作品をつくりたいゆえという。

「普遍的なテーマを扱い、千年単位で残っていく作品をつくるつもりでやっています。光は少なくとも人の世があるかぎり存在し続けるでしょうから、千年続くテーマたり得ると思っています。未来へ受け継がれて欲しいという願いがあるので、フィルムや印画紙などを吟味して、作品としても最高のクオリティになるようにという点にも気を配っています」