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クイズに強いことと雑学力があることは100%イコールではない

――そういうクイズをモチベーションとした「雑学力」というものがあるとすれば、それはどんなものだとお考えですか。

石野 うーん、なんですかね。私が身に付けているものは雑学という感じがしないんですよ。クイズに強いことと雑学力があることは、近いけれども100%イコールではないと思うんです。クイズに強いというのは、例えば野球がうまいとか、将棋が強いとか、そういったものに近いんじゃないかな……。クイズというゲームに特化して強いというだけの話です。

 

――クイズが野球だとすると、雑学というのはスポーツ全般といったところですか。

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石野 そうですね。ですから雑学力がある人は運動神経がいい人。クイズが強い人はその中で特定の何かに強い、野球がうまいとか、バスケットがうまいとか。そんな感じじゃないかなという気がします。だから、いわゆる雑学王ならクイズでもそこそこの成績はとるだろうけど、勝ち抜けるかといえばそうでもないだろうし、クイズ王が雑学王と知識を競い合ったところで、勝てるかといったらそんなこともない。クイズ的な知識と「うんちく」の違いもあると思います。

――クイズがお仕事で役立ったことは?

石野 気になる言葉があれば調べようという気にはなりますよね。ちょっとわからないことがあればすぐにサササッとパソコン検索してすぐに調べるという習慣はついてます。まあ、あとは就職試験には本当に役に立ったと思います。

――一般教養の試験とか。

石野 ええ、一般教養の試験勉強をする必要はまったくありませんでした。私はクイ研出身じゃないですけど、大学でクイズ研究会に所属して、卒業後に地方公務員になる人って多いんです。たぶんですけど、教養試験が楽だから。その分、専門試験のほうに力を注げますから。あとマスコミも多いですね。早稲田のクイズ研究会で私に近い世代の人は、マスコミ業界に入った人がとても多いです。

――「ポロロッカ」のクイズ王・西村顕治さんもそうですね。

石野 西村くんは、新聞社に入れるような知識を得るためにクイズ研究会に入ったというような話をしていました。

――面接試験にも強くなりませんか。クイズでコミュニケーション力が上がったとか。

石野 うーん。クイズを通して自分に自信を持てた人であれば、堂々と答えられるということはあるかもしれないですけど。わりと屈折している人が多いのですよね、この世界(笑)。

 

理系的な頭の整理と、葉っぱが生えていない知識

――大学は理系とのことですが、リケジョの石野さんから見て、理系と文系、どちらがクイズに強いと思われますか。

石野 昔は文系の人が圧倒的に多かったと思いますけど、今クイズやってる子は理系が多いようですね。良し悪しは別として、クイズの知識ってわりとぶつ切りでよかったりしますから、頭の中が箇条書きになっているような理系の人には有利かもしれない。文章で覚える人と単語で覚える人がいると思いますけど、私は完全に単語派です。文章聞いても長ったらしくてわからん、みたいな。

――たしかにそこは決定的な違いですね。開成高校のクイズ研究部の子や、今年の高校生クイズで優勝した桜丘高校の子たちは「問題文を作成して知識を蓄える」と言っていました。

石野 なるほどー。たしかに、そのほうが知識は発展しやすいんです。この人がこうしたからこうなったと、関連事項を文章の流れで覚える人というのは、もしかしたら文系の人に多いかもしれません。私の場合は、これはこれ、これはこれ、と1対1対応でないとなかなか覚えられない。

 

――石野さんのクイズメモがまさに1対1対応ですね。

石野 そうですね。私の頭の中のイメージとしては、最初に幹と太い枝ぐらいのものを単語ベースで覚えておいて、あとで何か機会があれば、それに葉っぱがついたりするよね、という感じです。ノーベル賞の受賞者についても私、何年の何賞を誰が受賞したか、まではバーッと覚えてるんですけど、業績についてはサッパリだったりするんです。それはまだ、葉っぱが生えていない知識ってことです。

――石野さんに弱点はあるんですか。

石野 弱点だらけです、私。アニメ観ないのでジブリさんとかわからないですし。ジャニーズは関ジャニ∞まで。最近の漫画もよくわからないですね。中学生までは『すすめ!!パイレーツ』とか『キャプテン翼』とか『エースをねらえ!』とか『北斗の拳』とか読んでたんですけど。