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大ブレイクには至っていないが実力も魅力もあるキャスト陣

 各キャラクターへキャスティングされた俳優たちの演技も素晴らしかった。

 福原遥は、ドラマ制作発表時のネガティブな声も「それだけ愛されている作品に関われるのだから」と真摯に受け止め、毎日のように原作やアニメを鑑賞して研究し、一人でのテント設営も室内で繰り返し練習したという。

 福原遥は以前から『賭ケグルイ』などで普段の甘い声からのギャップの演技で高い評価をえてきた実績があるが、原作漫画やアニメ版声優の東山奈央の演技などを参考に志摩リンのキャラクターを分析し、「シュガー抜き」の少しビターな声で孤独なモノローグをよく演じている。

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 高校のサークル組である大原優乃、田辺桃子、箭内夢菜らの演技もすばらしいし、各務原なでしこの姉を演じる柳ゆり菜はビジュアルもアンニュイな雰囲気もそっくりだ。

 芸能界でまだ大ブレイクには至っていないが、 演技の実力も俳優としての魅力もあるキャストがそろった『実写ゆるキャン△』は、何年後かに見た時にエポックメイキングな作品としてさらに評価を上げるかもしれない。

「斉藤恵那」を演じる志田彩良 ©AFLO

 芳文社はその雑誌名から「きららアニメ」と呼ばれる、『けいおん』『がっこうぐらし』『ご注文はうさぎですか?』など、多くのエンタメヒット作を生み出してきたが、そうした成功を背景に、競争に追われる少年誌ではできない『ゆるキャン』のような思い切りリラックスした構成で作家の好きなように描かせ、しかもそれが累計600万部という新しい商業的成功を切り開くという構図は、メジャー少年誌とも角川書店系ともちがう「芳文社カルチャー」の勃興を感じさせる。

 17日の放送で、実写ドラマ『ゆるキャン△2』はいったん最終回を迎える。だがこの奥深い作品の魅力、飲み飽きない透明な水のような価値はまだ世の中に知られ始めたばかりだと思う。シーズン3、そしてさらに大きな展開に期待したい。「やりすぎない、言い過ぎない」という節度を保ちながら、心の深い井戸から天然のミネラルを汲み上げることのできるこの作り手たちなら、アニメでもドラマでもまたおいしい水を飲ませてくれるように思えるのだ。