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2021/06/19

「ロイヤル蒲田ボーイズと東京ブラザーズは仲良い」

 シヴァは真剣な表情で答えた。やはり、ロイヤル蒲田ボーイズは日本の暴力団や中国系マフィアの怒羅権とは異なり、きちんとした組織体系を持っていない。明確な上下関係や役職もなさそうである。警察が準暴力団指定を視野に入れているのは、予算対象として都合が良いのもあるのだろう。

「同じネパール人のグループの東京ブラザーズと関係はありますか? また、ネパールジャパンユースクラブについても知っていますか?」

 私はさらに尋ねた。

「これで終わり。ロイヤル蒲田ボーイズと東京ブラザーズは仲良い。2つのグループに入ったりする人間もいる。ちゃんとしたグループじゃない。ネパールジャパンユースクラブは私たちの年上のグループ。私たちの親の年のネパール人がやっている」

 ロイヤル蒲田ボーイズと東京ブラザーズは交流があり繋がっている。それも、両方に所属するメンバーもいるようである。ネパールジャパンユースクラブについては、シヴァの親世代の40代から50代ぐらいのメンバーで構成されたグループという。

筆者の質問にネパール人武闘派メンバーは怒り、金槌を振り下ろしたという(写真はイメージ) ©iStock.com

私の顔のすぐ横の壁に、金槌を打ち突けた

 もっと話を聞きたい。私は質問を続けた。

「ネパール料理店から売上を一部もらったり、薬物売買、ドラッグなどはやったりしませんか? 日本のヤクザと会うことはありますか?」

 外国人マフィアの組織的な犯罪としてイメージの強い、みかじめ料徴収、薬物の密売などをしているのかが気になるところだ。私はネパール料理店Kに行き、薬物取引の場所となっている可能性が高いと見ている。また、そうだとしたら日本の暴力団と関係性を持っているのではないか。

「終わり」

 シヴァはテーブルをバンッと叩いた。明らかに怒っている。私はシヴァの圧力を受け止められず、目線を外してしまった。シヴァはいきなり立ち上がる。私は身体を強張らせた。すると、シヴァは部屋の奥の見えない場所に入っていってしまった。

 そのまま座っていると、再びシヴァが現れた。右手には金槌を持っている。ネパール人女性が悲鳴をあげながら抑えようとしたが、シヴァを止めることはできなかった。次の瞬間、私は立ち上がり逃げようとした。だが、シヴァの動きは予想以上に速かった。あっという間に私の目の前まで距離を詰めてきた。金槌を振りかぶる。

 私の耳元で大きな音がした。目の前には激しい怒りを露わにした表情のシヴァがいた。シヴァは私の顔のすぐ横の壁に金槌を打ち突けたのだった。私は緊張と恐怖でシヴァの右腕を抑えられなかった。

「帰ってくれ。日本人には悪いことしない」

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