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「これで終わり。終わり」取材途中で“半グレ”外国人は激怒し、私に向かって金槌を振り下ろした《直撃レポート》

「ルポ外国人マフィア 勃興する新たな犯罪集団」#1

2021/06/19
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 東京のネパール人マフィアにハンマーで攻撃され、ベトナム人から「殺すぞ」と……。日本の裏社会に潜む外国人マフィアに接触し、その実態を取材したフリーライター、真樹哲也氏の著書「ルポ外国人マフィア 勃興する新たな犯罪集団」(彩図社)が話題だ。

 急拡大しているその凶悪な活動実態から、彼らがアウトローの世界に身を投じることになった日本社会の事情まで、外国人マフィアの深層を追ったノンフィクション作品から、一部を抜粋して転載する。(全2回の1回目/#2を読む)

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ロイヤル蒲田ボーイズメンバーの攻撃

 これまで私は東京ブラザーズなどのメンバーを調査し接触してきた。しかし、警視庁が特に勢力を拡大するネパール人不良グループだと注視し、組織の全容解明に力を注いでいるのがロイヤル蒲田ボーイズである。

写真はイメージ ©iStock.com

 2019年2月にロイヤル蒲田ボーイズのメンバー5名は、東京都大田区蒲田に存在する飲食店内においてネパール国籍の被害者男性(当時21歳)ほか3名に対し、頭部等をビール瓶で殴打した上、その身体を殴った疑いで逮捕されている。それも単なる傷害罪だけでなく、逮捕罪名には「暴力行為等処罰に関する法律違反」も付いていた。

 これは、団体または多勢による集団的な暴行、脅迫、器物損壊、強要などを特に重く処罰する日本の法律で、元々は1925年に皇室や私有財産制を否定する運動を取り締まることを目的として施行された「治安維持法」の翌年に制定された、共産主義革命運動の過激化を懸念したものであった。現在では、暴力団、右翼団体、左翼団体など反社会勢力を取り締まるための法律として機能している。つまり、警察はロイヤル蒲田ボーイズを完全な反社会勢力と位置付けて逮捕したということだ。

 ロイヤル蒲田ボーイズが起こした事件の発生日時は2018年10月19日21時半頃だった。東京都大田区蒲田所在のネパール料理店“S”内において、ロイヤル蒲田ボーイズのメンバー8人で飲んでいた。ロイヤル蒲田ボーイズのメンバーが店内に流れているBGMを勝手に変えたことに、被害者となったネパール人留学生4名(当時21~26歳)が苦情を言った。

 すると、ロイヤル蒲田ボーイズのメンバーがビール瓶を使って被害者1名に殴りかかり、頭部等をビール瓶で殴打した上、その身体に暴行を加えて全治2週間の後頭部挫創等の傷害を負わせたという。