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2021/06/21

genre : 社会, 芸能, 医療

 たとえばデリヘルの場合、1人の客を90分相手にしても、女性の懐に入るのは1万円から1万5千円前後。これがAVであれば、ギャラの安い企画物であっても、6~7時間の撮影で5万円くらい稼げるというから、どちらが楽かは言わずもがなだ。

 こうした割りの良さにつられ、今後も風俗産業からの人材流入が続くなら、さらなる感染拡大も起こり得るだろう。

AV業界に根付く男卑女尊の構図が感染対策の障壁に

 AV業界も、性病対策のために手は打っている。

「AV業界では数年前、当時の人気女優Aさん(※現在は引退)が“性病検査を受けていない男優とは仕事をしない”と宣言し、検査モラルに一石を投じました。こうした動きから業界内の問題意識が高まり、月に一度の検査が義務付けられるようになった結果、今では撮影前に女優と男優がそれぞれ陰性証明を見せ合うのがしきたりになっているほどです。ただ、やっぱりこれも万全ではなく、検査の次の日に感染している可能性は誰にも否定できません」(同前)

 せめて検査の頻度を週に一度にするなど、チェック体制の底上げができれば理想的だが、事はそう簡単に運ばない。

©iStock.com

「AV業界では、女優の検査料はプロダクション持ちですが、男優は自己負担なんです。そもそも男優のギャラは安いので、月に一度の検査でもその負担に悲鳴を上げている人が少なくないのが実情です。なかには自主的に毎週検査を受けている男優もいますが、そういう人はごく一部に過ぎません」(同前)

 ちなみに検査料は、クラミジアからHIVまで全7項目の検査で1万5千円前後が相場。これに対して男優のギャラは、汁男優(※女優と絡まない、射精専門の男優)で1本あたり1000~5000円、中堅クラスで2万円、名前の知られたベテランでも3~4万円というから、確かに痛すぎる出費だ。

 それでも、その決して多くない食い扶持を維持するために、男優サイドは陰性を証明するのにまだ熱心なのだそう。むしろ1本あたりの実入りが大きい女優のほうが、自覚症状があったとしても期限ギリギリまで検査をせず、しれっと撮影にやってくるケースもあるとT氏は言う。これが昨今の感染増加の一因なのは間違いなさそうだ。

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