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今できる唯一の対策法は……?

 こうした状況に気づいているのはT氏だけではなく、業界内では半ば公然の事実となっているという。しかし、対策強化の声を上げる関係者はほとんど見られない。

「検査数を増やせば、それだけプロダクション側の負担が増えますからね。それに、ある女優に陽性反応が出たとしても、今は代打の女優がいくらでもいるのでさほど困らないという理由もあるでしょう」(同前)

 つまるところ、女優が感染を隠して現場にやってくるのも、それをプロダクションが半ば黙認するのも、すべては金銭的な事情にほかならない。しかし、誠実に検査を受けて撮影に臨んでいる男優側からすれば、たまったものではないだろう。

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 では、自身も作品に出演する機会が多々あるT氏は、どのように対策しているのだろうか?

「結局、小まめに検査を受けて自衛するしかないのが実情です。とはいえ、コロナ禍で通院に抵抗がある人も多いでしょうし、私は自宅で行なえるオンライン検査を周囲にも勧めています。ネットから申し込めば、2日後には検査キットが届きますし、尿やうがい液、血液など必要な検体を採取して返送後、中2日程度で結果が送られてきます。費用も安いところなら1万円程度。おまけに完全匿名で行なえるクリニックも多いので、プライバシーの問題もありません」(同前)

 仮に陽性が判明したとしても、多数を占めるクラミジアや淋病であれば自宅での治療も可能だという。

©iStock.com

「今は並行輸入のジェネリックもネットで買えますから、自分で安く治療できます。誰にもバレず、コストを抑えて治せるのだから、これはいいですよ。ちなみにうちのプロダクションは、全種類の薬を常備して万全に備えています」

 人知れずAV業界に忍び寄るパンデミック。AV業界で蔓延した性病は、いずれ人づてに一般社会にも飛び火する可能性が高く、これは決して対岸の火事ではないはずだ。コロナ禍の先行きと共に、今後の展開が気になるところである。