文春オンライン

「自分でも不思議なくらい嘘が嫌い」…“生きにくい”人間・光浦靖子(50)が芸能界で見つけた「居場所」

光浦靖子さんインタビュー #2

2021/07/22
note

――考えてみたら、私も20歳前後で自分のことなど全然わからないまま、何となく最初の仕事に就いた気がします。

光浦 そうですよね。あと、今度は家庭ができちゃうと「私、実はラーメン屋やりたかったの」って言っても「お母さん何言ってるの?」ってなっちゃうでしょ。やっぱり家族がいると大変だけど、私は自分1人だから。くたばっちまうのも自分1人だし、そこは強いですよね。コツコツ貯めてきた貯金もあるし。

「よし、今だ」って思ったんですよ。いろんなことから「よーし、自由になるぞ」っていう。

ADVERTISEMENT

――1個目の職業が苛烈だったからこそ、自由に価値がありそうです。

光浦 最近自宅を整理してたら昔の給料明細とか出てきて「あ、こんなにもらってたんだ」と思いつつも、「でも、命削ったわけだからな。もうちょっともらってもよかった」とも思ってます(笑)。命の代償だからなと思って。

 

――『めちゃイケ』は人生を賭ける番組だったんですね。

光浦 そう。これは私の命の値段かと思って。

――(制作統括の)片岡飛鳥さん自身がそういうふうにやってらっしゃったから。

光浦 でも、どの番組よりお世話になったし、生かしてくれたしね。

腹が立ったときは4回くらい同じトークを 

――今回、本を書いたことで、光浦さんの中でどんな変化がありましたか?

光浦 デトックスじゃないけど、次のステップに行けるなと思いました。行こう行こうとはしてたけど、言葉にして、あと、こうやってインタビューを受けてしゃべっているうちに、自分の考えがまとまっていくというか。言葉って面白いね。言っていくとそういうふうになっていくのか、自分がコントロールされていくのか。何でしょうね。

――書いていて「あ、私はそんなこと考えてたんだ」と気づくことも多いですか?

光浦 そう、そうやって自分で自分をだましていくのかもね(笑)。あと、感情がいい意味で乗らなくなるのかもしれない。腹が立ったことも、4回ぐらい同じトークをしていると、もう腹が立たなくなるじゃないですか。私はそれをよくやるんです。腹立った時は、同じトークを、お友達から何から3回ぐらい言うんです。そうすると忘れられる。

 

――段々とトークが磨かれていく……。

光浦 そうそう。ブラッシュアップされてね。小さく上手にまとめられるし。感情が収まっていくから、より冷静になっていく。文章も最初は怒りで書いていると、便秘気味なグチャグチャな感じになるけど、それをお通じよく整えていくうちに、私も落ち着く。

 たぶんセラピーみたいなものじゃないですか。自問自答セラピーじゃないけど、1人2役3役でね。めんどくさいので、普段私は日記とか書かないから、こういうエッセイが何年か分の日記だと思ってます。