『めちゃイケ』(フジテレビ)の初期メンバーとして一時代を築いたオアシズ光浦靖子。芸人界で確固たる立ち位置を得たはずの光浦が、突然留学を決意、しかしその留学がコロナで頓挫し……『50歳になりまして』(文藝春秋)には、50歳になった1人の女性が抱える悩み、苦しみ、希望が笑いとともに真正面から綴られている。彼女はどんな思いで自分の頭の「言語化」に踏み切ったのか。(全3回の第1回/第2回を読む)
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「それはもう、いい加減世代交代だと思いますよ」
——『50歳になりまして』の中で「老後」は大きなテーマになっていますよね。そもそも私たちにとっていつからが「老後」なんだろうと……。
光浦 私は漠然と、定年退職してからが老後なのかなと思ってます。
——ということは芸能人の場合、明確な定年がない。
光浦 ないですよね。ずっと働ける人は働けるし、もうボチボチ淘汰されていくと……本当にここ最近はテレビの様子も変わってきてますし。みんなお金もなくなってきたし。
——光浦さん自身に「淘汰されてる」という感覚がありますか?
光浦 やっぱり……そんなに仕事があるわけじゃないしね。今、レギュラーの人たちだって様変わりしちゃったでしょ。同じ少数の人しか出てないし、そこの枠には私は入ってないから。このまま細々と好きなことだけ地味にやれたら最高だけど、それすらも今奪い合いなので、そんなにのんびり構えてはいられないのかなと思ってます。
——なるほど。
光浦 中堅どころがね。ずっと中堅どころが幅を利かせてたけど、いよいよ世代が変わったでしょ。だって、20代の時から20年間、私ら世代はずっと若手みたいなポジションでやらせてもらってた。20年、昭和40年代生まれの人たちがずっとそこをやってきたからね。それはもう、いい加減消えて、ですよね。20年も幅利かせたら駄目でしょう。
——若手の仕事を奪ってきた。
光浦 若手から中堅というところまでの全部。トップの上澄みから下全部やってたもんね。それはもう、いい加減世代交代だと思いますよ。
——それは光浦さんの中では納得のいくことですか?
光浦 最近はもう納得いくようになりました。ちょっと前は焦ってましたけどね。「ああ、消えちゃう」とか「ああ、仕事なくなっちゃう」とか思ってましたよ。「正直私のほうが面白いのに」って思うことも多々ありました。でも「面白い」って使い勝手というか、私が思う「面白い」と番組が求める「面白い」は違うしな、とか、だんだん分かってきちゃった。
——そうですか……。
光浦 番組は私を求めてないな、と思って。