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《直木賞候補作インタビュー》「大きな力こぶは見せられたんじゃないか(笑)」呉勝浩が三つの次代を通して描く“歴史の継承”

『おれたちの歌をうたえ』

「1976年、99年、そして現在の3つの時代を書こうと考えた段階で、短い物語にならないことは分かっていましたが、まさかここまでの大長編になるとは想像していませんでした。ただ、この長さが必要な物語であるということは自信を持って言えます。読者の時間をいただくわけですから、いかに没入して面白いと思ってもらえるか、一文一文の言葉選び、ストーリーの面でも妥協せずに工夫を凝らしました」

 各所で絶賛された『スワン』に続く本作は、呉さんの著作の中でも最大のボリューム。「大きな力こぶは見せられたんじゃないか(笑)」と語るように、入魂の一冊と呼ぶにふさわしい小説となった。

呉勝浩さん

 元刑事で、現在はデリヘルの運転手として糊口をしのぐ河辺久則はある日、幼馴染の佐登志の死を知らされる。この一報を届けた若者・茂田は、佐登志が残した暗号に彼の隠し財産が示されていると信じ、それを解くヒントを久則が持っていると考えていた。期せずして、二人はこの暗号を解くために動き出す。

「僕にとっては数学的に解き明かしていくタイプの暗号より、暗号文自体は平易でも、あるとき認識がひっくり返され、『こういう意味だったのか』と驚けるものが魅力的だったんです。結果、暗号を解くために、少年時代に雪山で過激派メンバーを偶然発見した久則と佐登志を含む“栄光の五人組”と呼ばれる同級生たちの歴史と秘密を、久則の視点から描く小説になりました」