40代でふと“結婚したい”と思ったフリーランス記者の石神賢介氏は、ネット婚活、お見合いパーティ、結婚相談所、海外婚活……さまざまな方法で結婚相手を探し、そのさまを一冊の書籍『婚活したらすごかった』(新潮新書)にまとめた。
当時は運命の相手を見つけることができなかったが、それから10年が経ったいま石神氏は“やっぱり結婚したい”と思いなおす。
ここでは57歳になった現在の婚活事情を体当たりで取材した新著『57歳で婚活したらすごかった』(新潮新書)より一部を再構成し、同氏が体験した婚活イベントの実態をお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)
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「誰かと一緒にいたい」57歳にして婚活中心の生活にシフト
30代で一度結婚と離婚を経験し、以降はずっと都内で一人暮らし。職業はフリーランスの記者。持ち家はなし。年収は700~900万円――これが僕のスペックだ。
東日本大震災の頃に突然「誰かと生きていきたい」という気持ちが募り、婚活を本格的に開始した。結局、結婚には至らなかったのだが、その間の体験は『婚活したらすごかった』という一冊にまとめることができた。転んでもタダでは起きないのである。
さてそれから10年ほど経って、57歳になった頃、またしても婚活欲が高まってきた。
「誰かと一緒にいたい」――とはいえ、もうすぐ還暦。婚活年齢としては崖っぷちどころか、すでに谷へ向けて転がり落ちている。それでもやるからには、中途半端はダメだ。そこで、次のことを自分に課した。
(1) 婚活アプリに登録。ネットを通して毎日必ず誰かにアプローチする。
(2) コストをかけて、結婚相談所に登録する。
(3) 週末でも、平日でも、時間が許す限り婚活パーティーに参加する。
これらを徹底して、婚活中心の生活にシフトした。懲りないと思われるだろうが、この間の体験をまとめたのが新著の『57歳で婚活したらすごかった』である。
還暦前に元気なことで、と呆れられそうだが、実は上にあげた三つ以外にも変わり種の婚活イベントにあれこれ挑戦している。「変わり種イベント」といっても婚活未経験者には何のことやらわかるまい。婚活アプリ、結婚相談所、婚活パーティーの三つは婚活の王道だが、それ以外にも婚活バスツアー、婚活ハイキング、婚活ゴルフコンペ、婚活料理教室、婚活バーベキュー、寺社婚活など、実に数多くのイベントが存在するのだ。ここでは僕が経験したいくつかの体験をご紹介してみたい。
婚活いちご狩り
まだ新型コロナが流行する前のある冬の週末、朝7時、僕はJR上野駅横駐車場にいた。婚活バスツアーに参加するためだ。大手旅行代理店の子会社が運営している。目的地は千葉県、房総半島の農家と牧場だった。