今月18日、北京の人民大会堂で5年に1度の中国共産党全国代表大会(第19回)が開幕した。これは共産党による専制体制下にある中国において、次期政権の担い手とイデオロギーを決定する事実上の最高意思機関だ。今回は全国8900万人の党員から選り抜きの代表2287人が選ばれ、うち2280人が会議に参加した。党規約の改正のほか、党の中央委員200人ほどの選出もおこなわれる超重要イベントである(なお、党大会閉幕翌日の25日に中央委員たちが開く総会で、最高指導部の政治局常務委員会のメンバー<常務委員>が決定される)。
常務委員は通常5~9人ほどが選出され、この一握りのハイパーエリートたちが以後5年間の任期を通じて14億人の中国人民をコントロールしていく。次期の常務委員の顔ぶれや、個々のメンバーの党内序列がどうなるのかは、多くのチャイナウォッチャーにとって最大の関心どころである。
いっぽう、中国国内では党大会のたびに各種の報道が横並びになり、大会前から全国各地で選出された代表たちの素顔を報じたり、代表団が北京に到着する様子を事細かに報道するのが通例だ。今年の党大会はプロパガンダ好きの習近平のもとで開かれるため、例年に増して中国国内の党大会ムードは色濃い。
……ゆえに私も現地報道に張り付いていたわけだが、そこでひとつ気づいたことがあった。それは、日本の国会中継や与党の大会などと較べると、代表の顔ぶれに若者や女性の姿が目立つのである。もちろん圧倒的多数は習近平のようなムサいおっさんで占められているが、ときおり若々しくて見目がよい人が画面に映る場合がある。
それもそのはずだ。第19回党大会で代表に選ばれた2287人のうち、女性比率は24.1%に達している(ちなみに国会に相当する全人代では23.7%)。これは日本の解散前の女性衆院議員比率9.3%や、2017年衆院選の女性候補者率17.7%と比較するとかなり高い。なお、党大会の代表は「議員」ではないとはいえ、国政の担い手という点では議員に準じる存在である。
代表たちは平均年齢こそ日本の国会議員平均とあまり変わらない50代前半だが、中国共産党は国内の人民への宣伝や若手育成の目的もあって20代前半~アラサーぐらいの党員も代表に一定数含めているため、それなりに若者の姿も見られるわけなのだ。
ちなみにエリート党員が集中する中央委員(候補)以上のメンバーと違って、ヒラの党大会参加者には、労働者や農民といった社会の一線で働く「第一線党員」が3割ほど含まれている。
まがりなりにも社会主義政党としてのタテマエを示す目的のほかに、代表の選出にはマジメにコツコツ働く党員を表彰するという、一種の叙勲制度的な意味合いも含まれているようだ(逆に言えば、彼らヒラ代表たちに実質的な討論の機会や決定権は与えられておらず、党大会で決めるべきことは事前にあらかた決めてあるということでもある)。