文春オンライン

90年代、サブカル女子よりギャルのほうが偉かった――おぐらりゅうじさんが涼美先生に聞いてみた。#1

JK時代、鈴木涼美さんが男子トイレの個室で学んだこと

note
 

鈴木 私が初めて顔出ししたのは「SPA!」の峰なゆかさんとの対談なんですけど、それはおぐらさんからオファーがきましたよね?

おぐら そう。「SPA!」で峰さんを担当している編集者に頼まれて。その編集者が『おじさんメモリアル』の担当だから、ちゃんとつながってる。

鈴木 その対談の直前に、文春に「日経新聞記者はAV女優だった!」っていう記事が出て。だから最初は断ったんですよね。しばらく露出は控えようと思って。でも、いくつかきていた週刊誌からの取材依頼とか、文春を追いかけた記事みたいなものとは、テンションが違ったじゃないですか。湯山玲子の書評頼んで来た人からの依頼だし、受けてもいいかなって思いました。あとは峰さんの作品好きだったから。

ADVERTISEMENT

おぐら 返信のメールにも「今回の報道で各方面に説明やらお詫びやら言い訳におわれておりまして」って書いてあった。過去のことはおれも文春の記事で初めて知ったので、まぁ驚いたけど。で、その峰さんとの対談の帰りに、ブロスで連載してほしいってお願いしたんだ。

鈴木 代々木のマックでね。電車に乗ってるときに、小さい声で「これ連載いけるな」みたいな独り言を言ってた(笑)。

おぐら 連載初回の原稿は、ブロスに合わせてサブカル男子のことを書いてくれて。〈例えば、あくまで例えばですが、週刊誌に良からぬ過去を書きシバかれて白い目で見られてマイッている折、週刊誌的価値観なんてセカオワの歌でかき消すぜくらいに思ってる眼鏡大学生なんかは、即即でヌイてあげたくなるほど愛おしく見えるものだ〉と。校正で“即即”に赤字が入ったのはスルーしました(笑)。

鈴木 文春の報道でだいぶ滅入ってたから、おぐらさんが世間とは別の目線で私のことを評してくれるのにキュンとして。そのあと、今はなき新宿のcafé AYAで夜中の2時過ぎに待ち合わせして、そのままカラオケで朝までオールしたんです。

おぐら 「何時でも大丈夫です」とは言ったけど、まさか夜中の2時に「今からでもいいですか?」と言われるとは思わなかった。

鈴木 何時でもいいって言ってたから。一緒に映画観に行ったときも夜中でしたよね。ちなみに、そのおぐらさんと朝帰りした日、私はインタビューの取材があって、もう髪とかぐちゃぐちゃで遅刻して行ったら、なんか「歌舞伎町のホストクラブで朝まで飲んで」とか書かれました。

おぐら 編集者と一緒にカラオケしてたっていうより、朝までホストクラブにいたって書いたほうが引きがあると思ったんでしょ。

鈴木 最初おぐらさんのことは、ブロスの編集部に勤めてるし、見た目もキャップに金髪だったし、作られたサブカル男子のパブリックイメージのまんま捉えてたけど、カラオケ行ったらラルクのフラワーとかソフィアのビリーブとか歌うから、これはありかもなって(笑)。