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売れる「就活本」で大学生の進路希望がわかる? 東大・京大は研究者、早稲田はメディア、慶應はプレゼン

2021/06/29
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 上位校で安定した売上を誇る『業界地図』は、業界ガイド本としては、約75%のトップシェアを誇り、2位の日経を大きく引き離している。就活生のSNS上でも「これは読んだ方がいい」と必携書としてよく名前があがる。

 編集長の西澤佑介氏によると、『業界地図』のコンセプトは「大人社会の図鑑」。紙の良さを活かし、パラパラめくるワクワク感を意識しているという。

「『業界地図』は『週刊東洋経済増刊号』として約15年前にスタートしました。『会社四季報』の記者が全業界を執筆していることに加え、ルーツがビジネス雑誌であることがポイントで、一般読者にも興味を持ってもらえるようにと意識していて、たとえば地域別の人気企業ベスト3を取り上げたりもしています。

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『業界地図』

 もちろん、年に1冊の業界研究の"決定版"でもあります。特典として紙と同内容をWebで見られる電子版や、四季報オンラインや東洋経済プラスなど同社の有料サービスの体験版を添付するなど、情報をアップデートできる仕組みも作っています」

 大学をまたいで人気な本には、やはりそれなりの理由があるのだ。

東大生は東大が好き?

 就活本だけでなく、一般書についても比較してみよう。前述したとおり、大学生協のランキングだけで各大学や学生の特徴を判断するのはやや危険だが、傾向は見えなくはない。この1年間の各大学のベストテンをもとに、一般書も含めた特徴を考えてみよう。

 東大に関しては、東大関連本がベストテンによくランクインする。この1年で特徴的だった本といえば、2020年11月に1位となった『猫と東大。』(東京大学広報室 ミネルヴァ書房)である。12月にも4位にランクインしている。東京大学の広報誌『淡青』の特集をもとにした企画である。東京大学と猫の写真を紹介しつつ、猫に関する研究や猫を愛する関係者、さらには猫にまつわる学内の美術品を紹介する本である。

 その他、履修科目に関係したものとも考えられるが同大学の教員がリリースした本が売れている。