ハチャメチャなトンデモ系サメ映画が続々登場
もうひとつ、特に2009年以降の作品に多く見られる、サメ映画ならではの魅力を紹介しよう。それは“ハチャメチャさ”だ。『メガ・シャークVSジャイアント・オクトパス』(2009年)というサメ映画では、巨大なサメが天高く飛び上がり、ジェット機を撃墜するという、インパクト抜群のシーンが盛り込まれている。
続けてサメとタコが合体したトンデモ生物『シャークトパス』(2010年)やら、海から飛び出し砂地を泳ぐ『ビーチ・シャーク』(2011年)やらが台頭。その後「サメが竜巻に乗って空から降ってくる」という斬新なコンセプトで大ヒットした『シャークネード』(2013年)の影響で、同系統のトンデモ系サメ映画が未だかつてないほど短期間に続々と作られるようになり、いわば『ジョーズ』以来の新生サメ映画ブームの幕開けとなったのである。比較的新しいサメ映画としては、家の中に現れる『ハウス・シャーク』(2017年)や、6つの頭を生やした水陸両用のサメ『シックスヘッド・ジョーズ』(2018年)などの作品が印象的だ。
ただし、中には悪ふざけが行き過ぎて、そのハチャメチャさが食傷気味となっている作品、テンションが空回りしてしまっている作品も見受けられる。そして近年では、特にインディー映画界隈を中心に、何の入れ知恵か「とりあえずサメに奇抜なことをやらせておけば、あとはいくら手を抜いても許される」と勘違いしたかのような、ある種の痛々しさを伴う作品が増えていることも事実である。
肩の力を抜いて、くだらなさを楽しもう
とはいえ、適度におふざけを交えたサメ映画や、そのハチャメチャさに腹を抱えて笑うことのできるサメ映画が、同じようにリリースされていることもまた事実。ここは適度に肩の力を抜いて、そのくだらなさを楽しむ方向に心のスイッチを切り替えておいた方がいいだろう。もちろん、何事にも限度はあるが。
というわけで、以上2点がおおまかな“サメ映画”のポイントになってくるだろうか。奥深いようでいて案外そうでもなく、むしろ意外と浅いがやたら横に広い、そんなサメ映画の魅力を、ぜひともあなたも体験していただきたい。