日本のシングルマザーの相対的貧困率は先進国でも例をみない高さ。女性が前向きな人生を歩み続けるために「離婚の仕方」はいま必須の知識だ。
発売中の「週刊文春WOMAN vol.10(2021年夏号)」はジェンダー&フェミニズムの大特集。その中から弁護士・森詩絵里さんの「成功する離婚」に向けてのアドバイスをお届けする。
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「配偶者との結婚生活に限界を感じているけれど、どうすれば離婚できるのか?」そんな鬱屈した想いを胸に、日々過ごしていませんか。実は、こういった相談をよく受けるのです。
何十年も前であれば「離婚した女性は傷モノ」といった価値観がはびこっていたかも知れません。しかし、今や三組に一組が離婚すると言われる時代。現代における女性の離婚は「次の人生をイキイキと生きていくための前向きなステップ」なのではないでしょうか。
離婚には相当なエネルギーを要しますし、本稿では闇雲に離婚をおススメするわけではありません。とはいえ、結婚生活に行き詰まったり、夫から不当な扱いを受けたりして心身ともに参ってしまった際の“人生の羅針盤”はいつでも手元に置いておくべき。そんな思いから、以下の5か条をご紹介いたします。
第1条:ファーストステップは、離婚すること自体をしっかりと決め、夫に申し入れる
当たり前のように思われるかも知れませんが、離婚するために最初にすることは、離婚することを決意し、夫に申し入れることです。
離婚には、以下に挙げる3つのステップがあります。
ステップ1 協議離婚
離婚の申し入れの次に来るのは、夫婦間の「協議」です。夫婦の間で話し合いを重ね、裁判手続きを使わず任意に離婚することを協議離婚と呼びます。
ステップ2 調停離婚
夫婦間の話し合いで解決しない場合、家庭裁判所に間に入ってもらって、調停という場で離婚の話し合いをすることができます。
ステップ3 離婚訴訟
調停でまとまらない場合、最終的には離婚訴訟をすることができます。この段階においては、裁判官が判決で最終的な決断を下します。
もしこれらを全て一人で行うとすれば、特に離婚訴訟などは、多くの時間と法的知識が必要となります。訴訟までいった場合、二年もの時間がかかるなんてこともザラです。
ですので、続く第2条が重要になってきます。
第2条:弁護士などの専門家を早めに味方につける
できれば夫に離婚を申し入れる前の段階から、法律の専門家を味方につけることをおススメします。最初に法的な知識を頭に入れておくと、有利に事が進むケースが多いからです。
とは言っても、「どんな弁護士を選べば良いのか分からない」という方が大半ではないでしょうか。
私が提案する、離婚事案で弁護士を選ぶポイントは、次の4つです。
(1)最後まで寄り添ってもらえる人
(2)離婚事件の経験が豊富
(3)(2)の条件を満たしていて、なおかつ最新の法制度に対応している
(4)弁護士事務所が遠方でない
弁護士の中には、多くの案件を抱えすぎているあまり、クライアントへの“寄り添い力”が希薄になってしまう方もいます。しかし離婚は一生に一度とも言える、重要な決断です。ドライな人よりも、親身に寄り添って、一緒になって悩んでくれる弁護士を選ぶべきでしょう。
また、離婚調停の日には、半日を弁護士と一緒に過ごすこともあります。人間的に相性の合う弁護士がいいでしょう。