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噂になった「A子がヤクザと結婚したらしい」

 取材を進めると、A子さんを知る男性に話を聞くことができた。「田中容疑者がA子さんと結婚したのは2017年頃」だが、当時の出会いについて聞いたことがあるという。

「当時、A子は福岡県大野城市のラウンジや福岡の繁華街、中洲などで働いていたのですが、大野城市の居酒屋で旦那(田中容疑者)と知り合い、意気投合したそうです。旦那はA子よりも10歳くらい年上でした。当時、『A子がヤクザと結婚したらしい』と噂になっていました」

田中容疑者が殺害した蓮翔ちゃんと姫奈ちゃん(「FNNプライムオンライン」5月6日配信より)

 実際に田中容疑者は数年前まで指定暴力団に所属しており、体には入れ墨もあった。しかし2020年10月頃にテレビ西日本の取材を受けた際、6年前には組織を抜けたと語っている。

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 結婚からほどなくして蓮翔ちゃんと姫奈ちゃんが生まれ、家族は福岡市東区へ引っ越した。東区の小学校で息子が大翔くんと交流があった保護者の女性は「旦那さんが大翔くんの送り迎えや、学校行事に参加するなどしていたので父子家庭だと思っていた」と証言している。この頃には、子育ての中心はA子さんではなく田中容疑者だったようだ。

転居直前、大翔くんは児童養護施設に入っていた

 しかし長年、夫婦喧嘩が絶えず、ついには2020年5月に田中容疑者が実子2人を連れて、A子さんから逃げるようにして福岡市東区から飯塚市へ引っ越した。その2カ月後にA子さんと大翔くんも田中容疑者を追って飯塚市へ引っ越しているが、「転居直前、大翔くんは児童養護施設に入っていました」(前出・大手紙社会部記者)という。

田中被告の病死した養子・大翔くん (「FNNプライムオンライン」5月6日配信より)

 田中容疑者が飯塚市を転居先に選んだ理由は仕事のためだったようだ。別のA子さんを知る人物が語る。

「A子は『旦那と一緒に飯塚市にある自衛隊基地で左官の仕事をした』と話していました。あの家族はずっと金銭面が大変だったみたいです。携帯電話も料金が支払えないからか、よく音信不通になっていました。保証人になってくれるような身寄りもなく、新たに契約するにしても苦労していたようです。2人とも友人が多いタイプでもなかったから、家族で助け合ってなんとか生きていたんだと思う」

転居後も喧嘩が絶えず「面前DV」で複数回通報

 飯塚市の県営団地で田中容疑者らの近隣に住んでいた高齢男性も、家族の困窮についてこう話していた。

「田中さんは生活保護を受けていた。『生活費が足りないからカネを貸してくれ』と頼まれて貸したこともある。他にも、ほとんど会話もしないような近隣の方から借りたりして、生活していたようだ。貸したカネはちゃんと返してくれた」

 飯塚市への転居後も田中容疑者らの夫婦喧嘩は収まらず、激しさを増していった。子供たちの前で激しくやり合うことも多かったため、警察が児童相談所に「面前DV」で複数回通告もしている。