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《9歳の養子を殴打し膝蹴り》九州3児殺害 虐待父の“面前DV通告”でも児相が子供たちを救えなかった理由

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「今年に入り、子育てのストレスからひどい暴力をふるってしまった。頭や腹を殴ったり、膝蹴りしたりした。(養子の)大翔が死んで、自分が逮捕されて実子2人と離れるのが嫌だったから、心中しようと思った」

 福岡県飯塚市の職業不詳、田中涼二容疑者(41)は、警察の取り調べに対し、そう供述しているという。

田中容疑者 ©共同通信社

大翔くんだけが田中容疑者の暴行を受けていた

 2月26日、田中容疑者は、福岡県飯塚市の自宅から南に約230キロ離れた鹿児島県・桜島の麓にある観光ホテルで、実子である蓮翔ちゃん(れんと・当時3)と姫奈ちゃん(ひな・当時2)の首を絞めて窒息死させたとして、5月に殺人罪で起訴された。

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 自宅では養子の大翔くん(ひろと・当時9)の遺体も発見されたが、当初は病死とみられていた。しかし田中容疑者の供述をもとに捜査が進められ、6月18日に大翔くんへの傷害致死容疑で再逮捕されたのだ。

田中容疑者らが住んでいた県営団地 ©文藝春秋

「大翔くんの遺体の大腿部にはひどい打撲の跡があり、全身にもあざがあったようです。首を絞めて殺害した実子の2人には暴行の形跡はなく、大翔くんだけが田中容疑者の暴行を受けていたとみられています。警察は動機の解明を急いでいます」(大手紙社会部記者)

 田中容疑者による大翔くんへの暴行が激しくなったのは、元妻であるA子さんと離婚し、A子さんが出て行って間もなくのことだった。3人の小さな命を救う手立てはなかったのだろうか――。