ちなみに選手村では、日本の浮世絵がプリントされたコンドームが提供されることになっている。東京五輪組織委員会はコンドームを母国へ持ち帰ってHIVへの啓発に役立てて欲しいという趣旨を発表しているが、何を言っているのかよくわからない。素直に選手村でのHIV対策のために提供する、と自信をもって言えばいいのに。なにせ超人的な体力の持ち主たちが集まるのだ。三方を海に囲まれた選手村で隔離されては体力を持て余してしまうことは予想に難くない。
臨海副都心にある大体の施設には、「ゆりかもめ」で回れるようになっている。競技施設の周りにはタワーマンションが立ち並び、マンションの場所によっては観戦できそうだ。
有明は計画的に設計された街並みが美しく、都心にも近いため住みやすい街としてカップルやファミリー層に人気の街の一つである。子供を乗せた電動自転車やベビーカーを押す人が行き交う中、東京オリンピックのスタッフシャツやパスを首にかけた人を見かけると、臨海副都心とは程遠い場所に住んでいる筆者もさすがにオリンピック開催の実感が湧いてきた気がする。
ちなみにお台場近くにある船の科学館の駐車場には、コロナ感染症の無症状・軽症感染者の宿泊療養施設が設置されている。オリンピック期間中に感染者が増えないことを祈るばかりだが、首相会見でも国会答弁でも感染対策の具体的な案を聞かれると「感染対策はしっかりやる」とバグったスピーカーのようにしか答えてくれないので正直不安しか感じない。民間の会社のプレゼンでそんな対応をしていたら間違いなくリストラ対象だ。
すべてのケチは新国立競技場から始まった
東京オリンピックのメイン会場である新国立競技場。すべてのケチはここから始まったと言っても過言ではない。米在住イラク出身の建築家ザハ・ハディド設計の未来感あふれるスタジアムは日本中がワクワクしたのだが、建設費が巨額になるということであっけなく撤回され、今のスタジアムが建設された。
遅れた工期に間に合わせるための長時間労働によって追い込まれた工事関係者が自殺し、猛暑が予想されるにも関わらず安倍前首相の「冷暖房はなくていいんじゃないか」という他人事の一声で観客席に空調は設置されないまま建設されたのには、未来感あふれる設計からケチくさい設計になって日本中がズッコケた。安倍前首相にはオリンピック招致の功労者としてぜひ観客席で小池百合子東京都知事と一緒に“かぶる傘”をかぶって打ち水をしながらオリンピックを一日中観戦してもらいたい。