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行き詰まる小池百合子都政 国政転身ならば「降臨」する選挙区はどこになるのか

2021/07/02
note

「過労で倒れた」と言われたら、批難しづらいよね。

 東京都知事の小池百合子さんのことなんですよ。先般コロナワクチンを受けておられたので一時的な体調不良なら早く快癒してねと思います。身体が資本の政治家ですから、健康第一。アンパンでも食べて元気百倍となっていただければと思います。

小池百合子都知事 ©️AFLO

「東京オリパラ中止ならず」「都ファ大苦戦」と相次ぐ都政行き詰まり

 もちろん、小池百合子さんが過労になったよという話も分からんでもありません。目の前の東京オリンピックは、本来ホスト都市の知事であるにもかかわらず小池百合子さんを外して話が進んで見事に行き詰まりました。3月ぐらいまでは小池百合子さんはオリンピック開催中止を決断するタイミングを計っているという観測が流れ、実際そのような話を都庁内で調査させたようですが、関係者が小池さんを羽交い絞めにして「何らかの形で開催に合意」という道筋になったという逸話まで出たのはいい思い出です。

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 同じく目前に控える東京都議会選挙も、小池百合子さんが主体として結党に絡み顧問になっている都民ファーストの会が大苦戦予想で、これまた行き詰まりました。前回は「小池百合子旋風」といって多くの1年生都議を輩出したはずの都民ファーストは、まるでマンボウの産卵のようにほとんどが稚魚のまま政治家としての死を迎えようとしています。

コロナ対策の目立つ機会も失策、問題は山積み

 さらに、東京では目下、デルタ株と呼ばれる感染力の極めて強いコロナ変異ウイルスの感染者が増加に転じ、小池百合子さんが積極的に取り組んできたコロナ対策が完全に行き詰まりました。それも、9,000億円以上あった東京都の貯金を休業要請などコロナ対策費用でほとんど吐き出してしまい、困っている事業者に対する支援金の給付が遅れているだけでなく財源不足で政府と東京都の間でどっちが払うかで殴り合いになっています。コロナ対策でアテクシ小池がオホホと目立つ機会を得たはずが、やったことが概ね失政だったためにどうにもならなくなってしまいました。

 要するに、昨年7月5日に2期目の東京都知事に就任してみたものの、小池百合子さんは五輪も都議選もコロナ対策もやることなすこと全部うまくいかず、1期目の公約であった「7つのゼロ」も実現には程遠くて、都知事としての職責をうまく果たせなかった、というのが小池さんが過労に至った最大の理由でしょう。

 これから長期にわたって都民全体の高齢化や少子化対策、湾岸VS三多摩の貧富の格差問題、老朽化した交通インフラや上下水道の更新、止まらない通勤ラッシュに開かない踏切、西部の人口減少にともなう空き家問題などなど、問題は山積です。今後、東京の高齢化率がもっとも高くなる2050年代に向けて東京のレガシーを策定し、長期のビジョンに立って東京をどうしていきたいかという話もそこそこに、虎の子であった東京都のお金を全部使っちゃったぞというのが小池都政なわけですね。