スケートボードの新たな問題点
以上のように社会の中で嫌われものとされていたスケートボードが、徐々に受け入れられてきている中で、新たな問題も生じている。
一昔前だと街中(階段やスロープなど)で滑るのは上級者だけだった。しかしそれまでは、家の前やちょっとした広場で練習をしていた初心者たちが、SNSの普及により、投稿で見かけた国内外のストリートスケートに魅了され、同じ場所で同じ技をやろうと、街中に繰り出している。SNSでバズりたいがために、あえて危険な技に挑戦しているスケーターもいる。
初心者はまずパークで滑ることで周りの先輩からスケートボードのイロハを教えてもらい、やってはいけないことやスケートボードをコントロールするスキルを身につけていっていた。しかし前述したようにパークから溢れてしまっているスケーターが、経験不足のまま、街に繰り出し、通りすがりの人の迷惑になっていることもある。パークの不足はそういったことにまで影響しているのである。
今後オリンピックでの日本人選手のメダル獲得があれば、より一層スポーツとしての脚光を浴びていくだろう。そして競技人口もますます増えていく。そうなる前に日本のパーク不足問題を解決する必要があるのだ。
グラフィティ=落書きというイメージが、バンクシーのおかげでグラフィティ=芸術と昇華された様なことが、スケートボードでも起き始めているのではないだろうか。 文化というものは常に人々の生活の近く、それこそストリートと呼ばれる路上から発生して育っている。HIPHOPや、JAZZ、そしてROCKも然り。スケートボードが社会に受け入れられていくかの分岐点が今回のオリンピックではないだろうか。
日本代表選手がメダルを取ろうが取るまいが、カルチャーとしてのスケートボードはさほどは変わらないだろう。しかし、スポーツとしてのスケートボードはまだ始まったばかり。今後の動きを楽しみにしたい。