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『闇金』と『勇者』の並走で“カメレオン俳優”に

 ですが、山田さんは着々と“カメレオン俳優”へのキャラ変の道を作っていました。

 その“種”が最初に蒔かれたのは2005年。

 年齢=彼女いない歴のヲタク役で主演した映画『電車男』が大ヒット。“アイドル俳優”全盛期だったため、山田さんが非モテのヲタクを演じるギャップがウケたのでしょうが、このときにもう片鱗は見せていたのです。

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 続いて2007年。不良高校内の抗争をダイナミックに描いた映画『クローズZERO』では、最大勢力のリーダーというデンジャラスな役を演じていました。主演は小栗旬さんでしたが、山田さんの助演もヒットに多大なる貢献。山田さんのキレキレのクールな演技が印象に残っている方も多いのではないでしょうか。

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 そして2010年。4年ぶりにテレビドラマの主演に返り咲いた山田さんが演じたのは、かつての“アイドル俳優”の痕跡を1mmも残さないキャラでした。

 イカついヒゲヅラにゴリゴリのシルバーアクセをまとった闇金融経営者を演じたドラマ『闇金ウシジマくん』(TBS系)。アンダーグラウンドの社会を描くこの問題作は、連続ドラマ3作、劇場版4作が制作されるロングヒットシリーズとなったのです。

『クローズZERO』もバイオレンスな作品でしたが、まだ山田さんのイケメンっぷりを堪能できる余地が多くあったように思います。しかし、『闇金ウシジマくん』では“アイドル俳優”の殻を完全に破っていました。俳優・山田孝之は脱皮して新生したのだと、世間に知らしめるのに充分すぎるインパクトがあったでしょう。

 またまた新境地を見せてくれたのは2011年。ゲーム『ドラゴンクエスト』のパロディをベースに、シュールでナンセンスなギャグをふんだんに盛り込んだドラマ『勇者ヨシヒコと魔王の城』(テレビ東京系)に主演したのです。生真面目ながらズレまくった勇者を好演し、コアなファンを獲得。こちらも連続ドラマが3作も作られた人気シリーズとなりました。

 闇社会のコワモテキャラの『闇金ウシジマくん』を2010年から2016年まで、パロディギャグのおとぼけ勇者キャラの『勇者ヨシヒコ』を2011年から2016年まで演じた山田さん。この両極端の主演作シリーズを、約6年間も並走させ、“カメレオン俳優”の地位を確固たるものにしていきました。