樹海で自動車を見かけたら、要注意
同じようなパターンでは、樹海内の宗教施設「乾徳道場」へと続く道を登る手前の道路に、スーパーカブが放置してあった。このバイクもずいぶん放置されて、雪に埋もれていた。実は、僕が所有するバイクと同型だったので、少しドキッとした。僕自身も、自分のスーパーカブで樹海に来たことがあったからだ。
ただ、こちらのカブは、ハンドル周りなどをかなり改造してあった。また、後部に大きな衣装ケースを2段にして積んでいた。バイクで旅する人がよく使う仕様だ。旅人が樹海に来て自殺することはないとは言えないが、ひょっとしたら樹海に散策に来て、何かトラブルがあって出てこられなくなったんじゃないか? と思ったらゾッとした。
このように、死ぬために樹海に自動車で来るケースは少なくないという。僕が最初に見つけたご遺体も、実は近くの道路に自動車を停めて歩いて入ってきたのだと思う、とは警察からあとで聞いたことだ。
とある映画監督に話をうかがった。樹海を舞台にした映画を撮る予定で、ロケハンに来たそうだ。駐車場に自動車を停めると、奥にすでに1台駐車されていた。古いヴァンだった。下を見ると、マフラーに管が取りつけられているのが見えた。
「これは、ひょっとして?」
と、運転席を覗いてみると、やはり排気ガスを引き込み、中で人が死んでいた。
人道的には、すぐに警察に連絡しなければいけないが、撮影スケジュールがかなり押していて、全員で事情聴取を受けていたら時間がなくなってしまう状況だったそうだ。仕方なく一番若手の助監督に通報させ、彼に「1人で見つけた」とウソをついてもらい事情聴取に応じたという。
樹海で自動車を見かけたら、要注意である。
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