レベルが低下したメジャーリーグ
「かつて俺の現役の頃の日米野球では、メジャーの単独チームにオールジャパンで挑んでも10試合中ひとつ勝てればいいほうだった。それぐらい日米の差があったんだ。いまはテレビの中継などでメジャーの情報が簡単に入る時代になったけれど、我々の時代にはメジャーの真剣勝負なんて見たことがない。日米野球で来たときに初めてメジャーリーグに触れられる。その頃にONがメジャーへ行ったらどれくらい打てるかなと想像したことがあったけれども、まあ2割7分~8分打てばいいほうじゃないかと、それぐらい力の差を感じていた。
そう考えるとメジャーとの距離は本当に縮まったと思うよ。日本人の体力が向上したというのも若干はあるんだろう。大谷も身長190センチ以上というから、日本人の体形も大きくなったよね。だけど、そうしたことよりも気がかりなのはメジャーのほうだよ。ヤクルト監督時代、アメリカのユマでキャンプを張ったときにメジャーで監督もやったパット・コラレスに、『いまの日本人選手は平気でメジャーで活躍しているようだけど、実際のところはどうなんだ』と聞いたことがある。『まず一つはメジャーのレベルが下がった。そうして日本のレベルが少し上がった』というふうに言っていた。我々の頃は16チームだったのが、いまは30チームにまで増えたのだから、その分だけレベルを落としているということなんだけど、まあメジャーも安っぽくなったよな。
いま日本人メジャーリーガーは9人になるのかな(2018年当時。イチロー、田澤純一を含む)。そんな簡単に通用するなんてことが俺なんかからすると考えられない。日本のプロがどうこうというよりも、メジャーのレベルが下がったというのが寂しいわな。青木(宣親)にしたってヤクルトへ帰ってきたのはいいけど今季3割も打てていないんじゃないか(18年5月当時)。元メジャーリーガーがそれではなあ……。いまのメジャーに全盛時のONが行ったなら日本と大きく変わらないだけの成績を残せたんじゃないか」